汀こるもの(みぎわこるもの)
今最もツイッターを活用している作家・汀こるものです!
日々ネットでいろんな人と交流していたら、いつの間にかドイツのサッカー予言ダコ・パウル君を殺した犯人(あるいは替え玉の死体を使って誘拐した犯人)にされていました!
……何を言ってるのかわかんねーと思うが(略) …罪とか真犯人に利用されたとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……しかも俺が犯行を自供した後に新たな犯人候補が現れていた。メタミステリ要素も含み、後期クイーン問題にも言及する問題作! 正直、トリックもここに書くのが勿体ない! 何だ俺『ドイツミズダコの謎』とか書いた方がいいのか!
ただ問題は、国際的に有名な予言ダコの死は日常の謎なのかどうなのか。
で。たった今姉に「我が家に日常の謎ってある?」と尋ねたところ、何か異様な数の事件が出てきた。
その一。平成も二十年を軽く過ぎたというのに、小豆相場で億単位の金をすった親戚が二人もいる。
……小豆相場って横溝正史の時代の動機では……まだ現役だったのかこれ……うち一人は素行のせいで親戚中から総スカンを喰らっており、法事などで顔を合わせたとき『名探偵コナン』なら開始五分で掴み合いの喧嘩が起きるレベルの人間関係が展開されている。あの人がなぜまだ密室で殺されていないのか逆に不思議だ。
その二。江戸時代に分家し、交流が断絶してもはや会ったこともなかった遠い親戚が二十一世紀になってから「父の遺骨をそっちの家の墓に入れてくれ」とわけのわからないことを言ってきた。
……ちなみに、我が家の近辺には親戚でもないのに同じ姓の人が多い。多分、明治維新のときに近所の寺の住職が手抜きしたんだと思う。
その三。押入から“東山魁夷”“雪舟”と書かれた謎の木箱が出てきた。
……民家のトイレから『種の起源』初版本が出てきた並みだな。まだ開けてないけど近所になんでも鑑定団の出張が来たときに五千円とか値段をつけてもらう予定なので、泥棒の人は来ないでください。
その四。常備していたポテトチップスの袋に明らかに人間の手で開けたのではない穴が空いていた。囓ったような。全部食った後で気づいた。
……それを食って以来かれこれ四ヵ月、まったりと体調が悪いが人間ドックでそれらしいものは何も出なかった。これは犯人が謎ではなく、俺の体調の悪さが謎。ちなみにワルファリンを置いた途端食料品の被害はぴたりとやんだ。
その五。俺は、これでも梅田から電車で十五分のところに住んでいる。因習根深いいわくありげな一族の住む寒村とかでなく。ケーブルテレビでバリバリネットしてiPadも絶賛使いこなし中。しかしなぜか都市ガスと下水道は来ていない。
うちの近所に足りないのは後、「祟り神の伝説」と「不吉な童歌」だ。ほとんどのフラグは既に立っている。待てよ、親戚のあの人の郷里、まだ土葬の風習があったような……
それくらいならうちの家にもあると思った貴方。ここからが極めつけです。その六。
こるものさんは幼き頃の疾病により右耳がほとんど聞こえない(骨伝導は聞こえる)。うっかり二ヵ国語で録画して何をどうやっても英語副音声が消えなかった刑事コロンボ、右と左で違う音声の出るヘッドホン使ったら日本語だけ聞き取れて便利だった。飲み会で席順を決めるとき不便なのと、どこから音がしているのか方向がわからないので思わぬところから家族が出てきてよくビビる。いつか何かのトリックに使ってやろうと思っている。
それが五年ほど前、謎の宗教団体の幹部で心霊治療の権威なるお方に手を翳してもらったら、左耳は塞いでいたのに一瞬だけ聞こえないはずの右耳で鈴の音が聞こえた。
……日常の謎じゃねーよ! 大長編のプロローグじゃねーかよ! おぞましい陰謀の序章だよ! 島田荘司御大ならここから軽く五百ページくらい展開するよ! 誰か脳神経科学で解明してくれよ! てか何で謎の宗教団体が日常なんだよもうヤだこんな生活! 助けて京極堂!
えー、宗教とは縁を切りました。こるものさんの半生で得た教訓:良心的な宗教はやめるときに引き止めない。
六つ目の謎に関しては解答絶賛募集中です。名探偵の方はネットでこるものさんを捕まえて謎解きをしてください。講談社に送ってもいいけどプレゼントとか特にありません。
まあダラダラと書いたがこの記事の目的が何かと言うと、実は謎解き募集ではなく『動機未ダ不明 完全犯罪研究部』が出版されたため、宣伝をしろというミッションが。今回から巻末に「よい子は真似しちゃダメだゾ☆」の注意書きがつくようになりました。あの危険な高校生たちが帰ってきた! “十七歳”はそれだけで劇物。目的を見失った彼らの前に現れたのは退屈という名の死に致る病! 完全犯罪研究部、まさかの復活!
「完全犯罪シリーズ資料が高いよ図書館にねえよ!」と喚いていたら、担当P氏がすごく景気よく買ってくれました。……え、まだこのシリーズ続くの。てかこの資料また(別の)爆弾の作り方書いてあるんだけど。俺のあだ名そろそろ「大明神」とか「汀の如きタコるもの」じゃなくて「爆弾のこるもの」になるんじゃねえの。
ほんと、繰り返しますがくれぐれも真似をしないように(どれをとは言わない)。
- 『腐れ縁』 最東対地
- 『九本指』 山吹静吽
- 『忘れられた犯人』 阿津川辰海
- 『ささやき』 木犀あこ
- 『普通と各停って、違うんですか』 山本巧次
- 『雨の日の探偵』 階 知彦
- 『神々の計らいか?』 吉田恭教
- 『虫』 結城充考
- 『監禁が多すぎる』 白井智之
- 『チョコレートを嫌いになる方法』 辻堂ゆめ
- 『銀河鉄道で行こう!』 豊田巧
- 『方向指示器』 小林泰三
- 『庭をまもるもの』 須賀しのぶ
- 『寅さんの足はなぜ光る』 柴田勝家
- 『脱走者の行方』 黒岩 勉
- 『日常の謎の作り方』 坂木 司
- 『味のないコーラ』 住野よる
- 『鍵のゆくえ』 瀬川コウ
- 『彼らはなぜモテるのだろうか……』 市川哲也
- 『やみのいろ』 中里友香
- 『インデックス化と見ない最終回』 十市 社
- 『文系人間が思うロボットの不思議』 沢村浩輔
- 『街道と犬ども』 石川博品
- 『沖縄のてーげーな日常』 友井 羊
- 『ジャンルという名の妖怪たち』 ゆずはらとしゆき
- 『カロリー表示は私を健康に導くのか』 秋川滝美
- 『終電を止める女』 芦沢 央
- 『女子クラスにおける日常の謎』 櫛木理宇
- 『IBSと遅刻癖』 岡崎琢磨
- 『シューズ&ジュース』 青崎有吾
- 『キャラが立つとは?』 東川篤哉
- 『「源氏物語」のサブカルな顔』 荻原規子
- 『そこにだけはないはずの』 似鳥 鶏
- 『『美少女』に関する一考察』 加賀美雅之
- 『食堂Kの謎』 葉真中顕
- 『寒い夏』 ほしおさなえ
- 『人喰い映画館』 浦賀和宏
- 『あやかしなこと』 平山夢明
- 『あなたの庭はどんな庭?』 日明 恩
- 『日常の謎がない謎』 小松エメル
- 『影の支配者』 小島達矢
- 『「五×二十」』 谷川 流
- 『グレープフルーツとお稲荷さん』 阿部智里
- 『ボールペンを買う女』 大山誠一郎
- 『日常の謎の謎』 辻真先
- 『『サイバー空間におけるデータ同定問題』あるいはネット犯罪量産時代』 一田和樹
- 『囲いの中の日常』 門前典之
- 『カレーライスを注文した男』 岸田るり子
- 『お前は誰だ?』 丸山天寿
- 『世界を見誤る私たち』 穂高 明
- 『名探偵は日常の謎に敵うのかしら?』 相沢沙呼
- 『で、あなた何ができるの?はあ、皇帝だったらたぶん…』 秋梨惟喬
- 『すっぽんぽんでいこう!』 桜木紫乃
- 『右腕の長い男』 麻見和史
- 『坂道の上の海』 七河迦南
- 『彼女は地下鉄でノリノリだった、という話。』 柴村仁
- 『その日常で大丈夫か?』 汀こるもの
- 『成功率百パーセントのダイエット』 小前亮
- 『謎の赤ん坊』 蒲原二郎
- 『一般人の愚痴と疑問』 沼田まほかる
- 『寄る怪と逃げる怪』 高田侑
- 『福の神』 木下半太
- 『マッドサイエンティストへの恋文』 森深紅
- 『私の赤い文字』 大山尚利
- 『となりあわせの君とリセット』 詠坂雄二
- 『美人はなぜ美人なのか』 小川一水
- 『なぜモノがあるのか。』 鈴木光司
- 『この目で見たんだ』 北村薫
- 『運命の糸が赤いのは?』 山下貴光
- 『念力おばさん』 湊かなえ
- 『方向オンチはなぜ迷う?』 山本弘
- 『ゆがむ顔のカルマ』 真藤順丈
- 『子供だけが知っている』 宇佐美まこと
- 『人はなぜ、酒を飲むのか』 薬丸岳