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『ペンギンを愛した容疑者 警視庁総務部動植物管理係』大倉崇裕
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あとがきのあとがき

『ペンギンを愛した容疑者 警視庁総務部動植物管理係』

『ペンギンを愛した容疑者
警視庁総務部動植物管理係』

大倉崇裕(おおくら たかひろ)

profile

一九六八年生まれ。京都府出身。一九九七年に作家デビュー。『福家警部補の挨拶』は二〇〇九年、一四年にTVドラマ化され人気を博す。動物シリーズはこれまでに『小鳥を愛した容疑者』(講談社文庫)、『蜂に魅かれた容疑者』(講談社)が刊行されている。

 動物シリーズ第三弾をようやく完成させることができた。

 「ペンギンを愛した容疑者」は、シリーズ第一弾「小鳥を愛した容疑者」を完成させたときから、狙っていた。きっかけは、「フクロウを愛した容疑者」の取材に行ったとき、同行してくれたペンギン好きの友人が、「自宅でペンギンを飼育し、時々、公園を散歩させている人がいる」との情報をくれたことだ。

 さっそく取材を! と意気ごんでいたのだが、次作は「蜂」を扱った長編にすることが決まり、「ペンギン」には少しお待ちいただくこととなった。

 さて、諸々片づいて、いよいよ「ペンギン」に取りかかることとなったのだが、いざ調べ始めると、友人が言っていたペンギンを飼っている人とは連絡がつかなくなり、当てにしていたホームページも更新が止まってしまい……といきなり壁にぶつかってしまった。

 そんなとき、ふと聞きこんだのが、「池袋にペンギンのいるバーがある」という噂だった。調べてみると、なるほど、本当にある。名前もそのまま、「ペンギンのいるBAR」だ。私は、担当編集さんと共に、ほとんど飛びこみ営業のような状態で、そのBARに入っていった。

 お店は奥行きのある造りで、手前にテーブル席、カウンター席があり、奥がペンギンの飼育場になっていた。ガラス板で仕切られた一番手前は、ペンギンが泳ぐための池になっていて、水の中のペンギンたちを観察することもできる……とこの辺りの配置は、ほとんどそのまま、作中に活かしている。

 今日は取材だと自分に言い聞かせつつ、でもここはBARなんだからと、酒をガバガバ飲んでいると、店長さんが出てきて下さった。

 「ペンギンが絡む、人殺しの話を考えていましてね」

 という私の言葉にも嫌な顔一つせず、ペンギンに関するいろいろなことを教えて下さった。さらに、このお店名物、ペンギンへの餌やりタイムでは、私も数多くの女性客に交じって、ペンギンたちに小魚を食べさせることに挑戦した。ペンギンたちの臭い、鋭い嘴への恐怖などを身をもって体験できたわけだ。

 『ペンギンを愛した容疑者』も完成したので、近々BARを訪ね、祝杯をあげる予定である。

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