講談社BOOK倶楽部

『渦巻く回廊の鎮魂曲(レクイエム) 霊媒探偵アーネスト』風森章羽
webメフィスト
講談社ノベルス

あとがきのあとがき

『渦巻く回廊の鎮魂曲レクイエム
霊媒探偵アーネスト』

風森章羽 (かざもりしょう)

profile

3月7日、東京都調布市生まれ。『渦巻く回廊の鎮魂曲 霊媒探偵アーネスト』で第49回メフィスト賞を受賞し、デビュー。好きな場所は多摩地域。

 霊媒探偵アーネスト。このサブタイトルをつける時、躊躇がなかったと言えば噓になります。「果たして彼は探偵と呼べるのだろうか?」という疑問がありましたし、何より、こんなサブタイトルをつければ本人が機嫌を損ねるのは確実です。にもかかわらずつけてしまったのは、やはりこれが一番、シリーズとしての「核」を表している気がしたからです。まあ、そんな皮肉なタイトルもまた一興。本人には我慢してもらうことにします。

 さて、そのタイトルが示す通り、主人公のアーネストは霊媒師です。

 なぜ霊能者ではなく霊媒師なのかといえば、彼の役目が不幸な死を迎えてしまった死者と、その死者にとらわれた生者を救うことにあるからです。生者と死者との間に立つ存在。そんな彼には、霊媒師という呼称がよりふさわしいと思います。

「霊媒探偵」という言葉には、霊能力を駆使して謎を解く探偵ではなく、生者と死者の仲立ちをして、彼らを救うために謎を解く探偵という意味が込められています。とはいえ、彼が霊能力を駆使して謎解きをしないと言い切れないのもまた、事実ではあるのですが……。

 本作は、巷では一応「館もの」の仲間に入れてもらえているようです。私自身、一読者として館もののミステリが大好物なので、とても光栄に思います。けれど同時に、先人たちの素晴らしい作品の数々を思うと、何だか恐れ多い感じもしてしまう今日この頃です。

 ちなみに作中に登場する屋敷は、残念ながら(当然ながら?)高尾には実在しません。その代わりと言いますか、高尾山の麓にはトリックアート美術館が存在しています。私自身子どもの頃に一度だけ入ったことがあり、その時にあれは期間限定の企画だったのかもしれませんがトリックアートを用いた迷路が作られていました。本作に登場する「渦巻き回廊」を設定する際、その迷路の記憶は大いに役立ってくれたものです。

 何やら蛇足的なことを書き連ねましたが、とにかく楽しんでいただけると幸いです。

 今秋には、シリーズ二作目となる『清らかな煉獄』が刊行される予定です。

 アーネストが抱える事情のひとつが明らかになると同時に、あの人も再び顔を出してくれます。本作共々、どうぞよろしくお願いいたします。


特集ページへ


Backnumber

My Precious講談社ノベルス 立ち読みメフィスト あとがきのあとがき 日常の謎
メフィスト賞とは?