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『毎年、記憶を失う彼女の救いかた』望月拓海
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あとがきのあとがき

毎年、記憶を失う彼女の救いかた

『毎年、記憶を失う彼女の救いかた』

望月拓海(もちづきたくみ)

profile

神奈川県横浜市生まれ。日本脚本家連盟会員。本作の舞台である静岡県浜松市と磐田市で育つ。上京後、放送作家として音楽番組を中心に携わった後、2017年『毎年、記憶を失う彼女の救いかた』で第54回メフィスト賞を受賞しデビュー。

『毎年、記憶を失う彼女の救いかた』を書いた、望月拓海です。
 放送作家をしているため今は東京に住んでいますが、幼少期から上京前まで過ごした地元の浜松には強い思い入れがあります。
 その思いもあってか、あるご縁で静岡放送のプロデューサーさんと出会い、現在、静岡ローカルのレギュラー番組も担当しています。
 このデビュー作は、一年しか記憶を保てないヒロインがある青年小説家と出会い、浜松市内のスポットでデートしながら、彼の正体に迫っていく恋愛ミステリです。
 ヒロインは元ミス浜松で、作中には、浜松城、浜名湖パルパル、ザザシティ浜松など、地元民にはおなじみのスポットが数多く登場します。
 小説に出てくる地元の名所は、特に思い出深いところを選びました。その中でも、大好きな二つのグルメスポットは、どうしても入れたかった。
 一つ目は、静岡県民が誇る最強レストラン、「さわやか」。
 げんこつハンバーグ、本当に美味しいです。今まで食べたハンバーグの中で間違いなくいちばん美味しい。その日に届いた肉をその日に使い切るため静岡県にしか出店していない。そのポリシーもまた素晴らしい。地元に帰ったら必ず行きます。
 二つ目は、浜松駅前のうなぎ屋さん。
 モデルは、「八百徳」さんです。うなぎ茶漬けをはじめて食べたとき、「こんなに美味しいものが世の中にあったのか!」と、すごく感動したことを今でも覚えています。浜松の書店さんへご挨拶回りした日にタイガの編集長さんと担当編集さんとも食べに行ったのですが、お二人も大絶賛していました。
 小説の完成後に気づいたのですが、どちらも大好物のせいか、かなり細かく描写していました。この二つのメニューは、「ハンバーグ」と「うなぎ茶漬け」というジャンルで全国一位の味だと思います。皆さんも浜松に行った際には、ぜひお立ち寄りください。
 ちなみに、小説に登場するほとんどのスポット名は、メフィスト賞に投稿したときは実名で記載していなかったんです。なんとなく、「こういうのは実名を出したらいけないのかな」と思っていたから、たとえば、「げんこつハンバーグのさわやか」を、「こぶしハンバーグのまろやか」と書いていました。担当編集さんのアドバイスですべて実名に修正した結果、より浜松の人たちに感情移入して読んでいただける小説になったと思います。担当編集さん、ありがとうございました。
 地元の観光促進のような内容になってしまいましたが、現在執筆中の二作目も、全体の十分の一くらいは浜松を舞台にする予定です。
 とはいえ、デビュー作も二作目も、老若男女問わず、全国各地の皆さんに楽しんでいただける、誰にでも読みやすい小説を目指しているので、両作品ともたくさんの方に手に取っていただけたら幸いです。
 今後とも、よろしくお願いします。

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