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『未来S高校航時部(ミクラスこうこうこうじぶ)レポート TERA小屋探偵団』辻真先
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あとがきのあとがき

未来S高校航時部レポート TERA小屋探偵団

『未来S高校航時部レポート TERA小屋探偵団』

辻 真先 (つじ まさき)

profile

1932年生まれ。脚本家として多くのアニメ、特撮作品に携わる。現在も『名探偵コナン』の脚本に参加。72年に『仮題・中学殺人事件』で作家デビュー。日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞など受賞歴多数。

 あとがき作家?で高名なのは、エンタメの世界だと平井和正さん、菊地秀行さん、それに亡き栗本薫さんたちでしょうか。実はどなたの本の場合もいち早くあとがきを読んで喜びました。一口にあとがきといっても、こんないろいろな書き方があるのかと、目を洗われた記憶があります。

 つまりは価値観の多様化なのでしょう。要するになんでもアリってことですかね。裏返せばなんでもダメってことになります。Aさんには面白くてもBさんには全然。作者は面白いつもりなのに、読者は全員が白ける。となったらこりゃ大問題です。そんなわけで、作者としてはつい自分の嗜好を犠牲にしても、なるべく一般受けのする話を書く。――ということは、こと講談社ノベルスに限ってないみたい(拍手)。

 ぼくが14年前に上梓した『デッド・ディテクティブ』は死後の世界のトラベルミステリ、7年前に復刻してもらった『急行エトロフ殺人事件』は架空の時刻表を駆使した鉄道ミステリと、趣味臭ふんぷんのマイ・ノベルスでした。

 雀八十二まで踊り忘れず。今回も好き勝手な話を書いております。SFとミステリをブレンドして、チャンバラ仕立てのモンスター活劇。作者の老醜と軽佻を冷やかしてやろうという悪趣味な読者なら、ひょっとして呆れてくださるのではないかと期待しているのです。

 ただこの作者の悪癖として、とかくサービス過剰になる点は、あらかじめご了解願っておきます。これは小説ではなく推理劇のケースですが、銀座の小舞台にかけたとき、つい悪乗りして、ラストで6回7回とドンデン返しを試みたことがあります。はじめは純真なお客さまたち、終りと思わされる都度いちいち拍手してくれたのですが、度重なるドンデンにうんざりして、本物のラストシーンになったら(どうせまたドンデンだろう)と知らん顔をされました。自業自得とはいえ作者も困惑、急遽場内アナウンスしてもらったことがあります。

「エー、もうこの後はドンデン返しはありません。安心してみなさまご退場ください」

 そんな馬鹿げた体験をしたものですから、このあとがきのあとがきには、ドンデン返しはございません。安心して、まだ未購入のお客さまは、本作をお求めくださいますように。その売れ行きによっては、『未来S高校航時部レポート』の第2弾が発売される可能性がありますので。


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