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『レベル95少女の試練と挫折』汀こるもの
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あとがきのあとがき

レベル95少女の試練と挫折

『レベル95少女の試練と挫折』

汀こるもの(みぎわ こるもの)

profile

1977年、大阪府生まれ。『パラダイス・クローズド』で第37回メフィスト賞を受賞しデビュー。2018年に上梓した『火の中の竜 ネットコンサルタント「さらまんどら」の炎上事件簿』が全国紙や小説誌の書評欄に取り上げられ話題に。著書に「THANATOS」、「完全犯罪研究部」、「レベル99」の各シリーズなどがある。

 れべきゅー第二シーズンです! 第一シーズン読んでない人もどうぞ! どうせ第一シーズン初めから読んでも「これ何かの話の続き?」ってなるのに決まってるので!

 これは「スマートフォンが妖怪になる時代」に妖怪と戦う女の子の話です。ということでこのたびの敵は「宇宙人」「山手線」「作った人が早死にした、オタクくさいカードゲーム」です。これまでの敵は「廃れたSNS」「戦中の対人呪術地雷」「危険ドラッグの幻覚」とかでした。

 Siriが一瞬ルー語を喋るようになってまた日本語に戻ったこの平成三十年。人ならざる者が人語を話すのが当たり前になった平成三十年。SNSでレイバンのサングラスを勧めてくるのは人間なのか。AIと簡単に言うけど我々はニューラルネットワークで学習したAIと乱数生成と自動検索コピペbotと派遣登録のライターが書いた文章の見分けなどつくのか。拡張された現実の向こうにあるのは本当に現実なのか。フェイクニュースを撒いているのは人間なのか。

 あらゆる価値観がひっくり返るこの平成最後の冬に送る妖怪物語、れべきゅーです。……舞台は夏だったり秋だったりするけど。

 天狗はオーブとスカイフィッシュとハレーションを操り、化け狐に攫われた女の子をヘリと山岳救助隊が捜索します。魔列車クハ231―596、恐ろしい妖怪に仕上げました。冷静に考えると宇宙人や人喰いカードゲームより遥かに怖いなこいつ。

 最先端科学が人を救う時代の終わり、魑魅魍魎が科学とネットワークとに同居する新たな時代に、人の願いが妖怪を生み出す。科学で解明できる時代だからこそなくならない隙間。人間の心と身体に残ったバグとしての妖怪を表現しています。

 キャラものとしては、女子中学生とおっさんです。まだ要領よく生きられない少女と、ありとあらゆる生きづらさ過積載の面倒くさいおっさん各種! 「歳の差のある男女が仲よくしていると微笑ましいが本当に恋愛に発展するとドン引きする」という方にオススメ! 女装とかショタとかケモとかいるけど基本おっさんと少女!

 てか毎回あらすじが説明しづらいんだよ……担当編集さんもかいつまんで説明できなくて困ってたじゃないかよ……俺も説明できないんだよ、伊藤計劃囲碁将棋部発足とか……

 ええと。これ書いてるとき百舌鳥・古市古墳群のド真ん中の病院に入院していました。Googleマップ開けたら画面に前方後円墳が二個も三個も表示されてるの。神代と現代は確かにつながっています。一回くらいみずらに結った古墳時代の幽霊に出会うかと期待しましたが出会いませんでした。よく「こういう妖怪物書いてる人って霊感あるんですか?」と聞かれますが、ないです。物語のロマンを守るためにはあるって言っておいた方がいいんでしょうか。でも霊感のある人は伊藤計劃囲碁将棋部とか書かないんじゃないかな……

 え、あ、作家生活十周年記念?

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