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『体育会系探偵部タイタン!』清水晴木
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体育会系探偵部タイタン!

『体育会系探偵部タイタン!』

清水晴木(しみず はるき)

profile

1988年、千葉県生まれ。東洋大学社会学部卒業。2011年、函館港イルミナシオン映画祭第15回シナリオ大賞で最終選考に残る。2015年、『海の見える花屋フルールの事件記 〜秋山瑠璃は恋をしない〜』(TO文庫)で長編小説デビュー。著書に『緋紗子さんには、9つの秘密がある』(講談社タイガ)などがある。

 僕は高校時代に、途中でバスケ部を辞めた事がある。

 小学生の頃からバスケをしていたが、中学の頃に大きな怪我もあって、高校に入って気持ちの糸が切れてしまったのだ。もしもそんな時に、この体育会系探偵部タイタンのような部活があったらどうだろうか。きっと主人公の白石のように、悩みながらも入部を決めたかもしれない。

 運動部を辞めた後は、放課後に本を読み、映画を見る事が飛躍的に増えた。その頃に出会った作品の数々が今の自分を形作っていると言っても過言ではない。生活のリズムにも大きな変化は起きたが、それでも友達付き合いはあまり変わらなかった。一番よく遊んでいたのは、バスケ部や、野球部などの同級生だった。

 大学では、当初の学部が文学部という事もあって、文化系の友達が増えた。今までにあまり話した事のなかった本や映画の話を一緒にできるのは楽しかったし、そこでの居心地が良かったのも覚えている。

 この二つの経験から、かなりおおざっぱではあるが、僕は体育会系、文化系の二つの部の空気感を学生時代に肌で感じているとも言える。今作で、体育会系探偵部と文化系探偵部の両方が登場するのはある意味当然の事だったのかもしれない。

 僕にとって、二つの部はどちらも非常に魅力的な存在だ。きっと高校時代なら体育会系探偵部を選び、今なら文化系探偵部を選ぶだろう。正直、タイタンのハードワークについていける気がしない。でもこんな愉快な奴らが傍にいたら、さぞ楽しい学校生活になるだろうとも思う。円陣にもちょっぴり参加してみたい。

 そんな今作、『体育会系探偵部タイタン!』では、推理力0%体力気力120%で謎解きに挑む、体育会系男子の熱い友情を描いた。前作、『緋紗子さんには、9つの秘密がある』では、さまざまな悩みを抱える女子高生の綺麗な友情を描いたつもりだ。でも、前回は女子の友情だから今度は男子の友情を描こう、と思って今回のアイディアが浮かんだ訳ではない。何か因果はあるかもしれないが、あくまで偶然である。

 そしてなんと言っても今回、意識したのは、読後感だ。

 今までの作品なら、ジーンと心の奥底で感動を味わいながら、しばし余韻に浸って空でも眺めてほしい、と読んでくれた方に思ったりもするのだが、今作は違う。ちょっと走りに行ってくるわ、と言って家を飛び出したり、もしくは本を横に置いて突然、腕立て伏せでも始めたりしてほしいと思っている。

 そして今回もまた、舞台の千葉の魅力を伝えたいと切に願っているので、できれば聖地巡礼ではないが、作中のスポットを訪れるのもおススメしたい。今回は、千葉県内の書店さんに限っての千葉限定帯なるものも付けて頂いたので、是非そちらも必見。

 さあ、『体育会系探偵部タイタン!』を読み終えたあなたは、どんな気分になるでしょうか。

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