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『神の時空 京の天命』高田崇史
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あとがきのあとがき

神の時空 ―京の天命―

『神の時空 ―京の天命―』

高田崇史(たかだ たかふみ)

profile

昭和33年、東京都生まれ。明治薬科大学卒。『QED百人一首の呪』(講談社ノベルス)で、第9回メフィスト賞を受賞しデビュー。著作に「QED」シリーズ、「カンナ」シリーズ、「鬼神伝」シリーズ(2011年アニメ映画化)、『軍神の血脈 楠木正成秘伝』、『鬼門の将軍』などがある。
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 昔の日本で、怨霊を最も恐れていた人間は誰でしょう?

 もちろん、怨霊や幽霊を全く恐がらないという人は殆どいないと思います。無念のうちに亡くなった人々の死霊を始めとして、生霊や鬼や物の怪などの妖怪たち。どれを取っても実に恐ろしい存在です。

 そして、その中でも特にそれらの怨霊に対して怯え続けていた人間がいました。それは誰かといえば、その怨霊たちを作り出してしまった貴族たちです。

 しかし彼らは、なかなか公にその存在を認めようとはしませんでした。もちろんそうでしょう。そういった怨霊の存在を認めたなら、それは同時に自分たちの罪悪や不行跡を認めてしまうことになるからです。

 といっても、やはり怨霊は恐ろしい。

 そこで彼らはどうしたか。

 怨霊を生み出したのは自分たちであるにもかかわらず、できる限り責任のないフリをして、我々庶民に怨霊を祀らせることにしたのです。みんなで等しく祀りなさい、そうしないと酷いことになりますよ、と命じたのです。その結果、我々は怨霊たちと、とても身近に暮らすことになりました。

 しかし、これは、ある意味とても幸運なことでした。というのも、世界有数の火山国であり、同時に地震帯をいくつも抱えているこの国で、我々の祖先は怨霊たちに暴れられないよう、常にお祀り──つまり、祈りを続けることになったからです。一度生まれてしまった怨霊は、なかなか鎮魂・浄霊されず、いつまた暴れ出すか想像がつきません。また、一旦暴れ出してしまうと大変です。それを、貴族はもちろん、一般庶民の我々も一丸となって、必死に鎮魂に努めてきたのです。ところが、時代が進むにつれて、我々は怨霊の存在を希薄に感じるようになってゆきます。でも、怨霊は相変わらずそこにいるのです。ただ我々が気づいていないか、あるいは気がついていても見えないフリをしているにすぎないのです──。

 全八巻を目指していたこのシリーズも、ついに最終巻となりました。ここでも、日本最大級の怨霊が登場します。果たして辻曲兄妹たちは、そんな恐ろしい怨霊たちを、無事鎮魂することができるでしょうか。そして、摩季の運命は……などなど、楽しんでいただけましたら幸甚です。また、まだ書き残しているエピソードもいくつかあります。これも、何かの機会に改めて発表できればと思っています。

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