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『鬼神伝 龍の巻』高田崇史
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あとがきのあとがき

『鬼神伝 龍の巻』

高田崇史 (たかだたかふみ)

profile

東京都生まれ。1998年、『QED百人一首の呪』で第9回メフィスト賞を受賞しデビュー。桑原崇が活躍する歴史ミステリー『QED』を始め、『毒草師』『カンナ』シリーズなど”裏の日本史”をテーマとした作品を多数執筆。

「今度『ミステリーランド』というレーベルを作ろうと思ってるの」忘れもしない九年前の秋、文芸図書第三出版部の元部長、故・宇山さんに(お酒を飲みながら)言われました。

「そこで、子供の頃に自分が読みたいと思った本を書いてもらえませんか。しかも読み終わった子供たち誰もが道を誤ってしまうような作品を、一作家さん一冊限定で」

 これは書かせていただくしかないと思いました。というのも、ぼく自身、小学生の頃の読書で「道を誤って」しまった一人だという自覚があったからです。そこで、「いわゆる『ミステリ』とはちょっと路線が異なるかも知れませんけど、これこれこういった話はどうでしょう。ただ、枚数をかなりオーバーしてしまいます。きっと」

 恐る恐る提案したところその場で、「良いじゃない。それ書いてみて。枚数のことなんかは、後で考えておくから」

 とおっしゃっていただきました。

 ところが宇山さんは(予想通り)何も「後で考え」ることなく、そのまま上下巻二冊組という「ミステリーランド」掟破り本の刊行となってしまいました。これが『鬼神伝・鬼の巻』と『神の巻』です。

 そして今回「講談社書き下ろし100冊」の依頼をいただいた時、ぜひともこの思い出深い『鬼神伝』の続編を書かせていただこうと閃きました。題名も『龍の巻』と決めて、舞台は鎌倉時代。

 実を言うと、ぼくは個人的に鎌倉が大好きで、『QED』や『カンナ』などでも取り上げましたが、何作書いてもまだ書き尽くせない深い歴史を持った土地だと感じています。その地で、前作より少しだけ大人になった天童純が活躍します。

『QED』が「ギムレット」とするなら、『カンナ』は「シンガポールスリング」で『鬼神伝』は「カルアミルク」でしょうか。

 それぞれ見かけは大きく異なっていますが、根本的なアルコール度数は全て同一です。しかも甘いカクテルほど、後から効いてくるのです。ご注意下さい。

 しかしいずれにしても皆さんに心地良く酔っていただけたら、それにまさる幸せはありません。

 なお『鬼神伝』に関しては、現在アニメ化の話が進んでいます。監督は『SPRIGAN スプリガン』の川﨑博嗣さんです。ぼくも一人のファンとして、劇場公開をとても楽しみにしているのです。


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