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『増加博士の事件簿』 二階堂黎人|あとがきのあとがき|webメフィスト
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あとがきのあとがき

『増加博士の事件簿』

二階堂黎人 (にかいどうれいと)

profile

1959年、東京都生まれ。‘92年に『地獄の奇術師』でデビュー。以来、注目を大いに集める本格ミステリを次々と上梓。近著にラビリンス・サーガ完結編『覇王の死 二階堂蘭子の帰還』など。

『増加博士の事件簿』は、パズル雑誌「ニコリ」に連載したものです。日頃、長編ばかり書いている私に、「ニコリ」の編集さんが、毎回原稿用紙十枚でショート・ミステリーを書いてくれと言うのです。それを聞いた時、正直、私はびっくりしました。何故、長編を書くことが多いかと言うと、短編を書くのが苦手だからです。ある着想を基に物語を創造しようとすると、あれもこれもとトリックを盛り込みたくなり、結果的に(かなり長めの)長編になってしまいます。

 とはいえ、普段とは真逆の短いミステリーを書くというのも、面白い試みだと思いました。それで引き受けたのですが、「しかし、原稿用紙十枚で本格は無理ですから、広義のミステリーでいいですか」と、編集さんに尋ねたところ、それで良いとの答。で、書きだしたのですが、結局、本格から離れることができず、ダイイング・メッセージを中心に、アリバイ・トリックや密室トリックを盛り込んだシリーズとなりました。また、増加博士の探偵譚としたのは、前々から書きたいネタが幾つかあったからです。それは、「人工衛星の殺人」や「物質転送機」などの事件で、現実的な世界では描きにくい題材でしたから、不条理な設定の中でも大いに力を発揮してくれる増加博士に登場を願うしかなかったのです。

 というわけなので、増加博士の人となりを御紹介しましょう。

【増加博士】主にメタ・ミステリーの中で生きている名探偵。肥大漢というよりデブ老人で、二本の杖を突いて巨体を支えつつ歩く。アメリカの名探偵ギディオン・フェル博士を崇拝している。ライバルは、ヘンリー・メリヴェール卿を崇拝する目減卿で、何度か難事件が起きた現場で激突し、推理合戦を繰り広げたことがある。愛用の文房具はフェルトペン。若い頃にはフェルト製の中折れ帽を愛用した。専攻は犯罪学だが、独自に「フェルマの原理」や「フェルマの大定理」などについても研究している。趣味は造花作り。平安中期の天台宗の僧、増賀上人が先祖。出身は埼玉県草加市。

 増加博士のこれまでの活躍は、講談社文庫の『増加博士と目減卿』で読むことができます。そこには、増加博士が解決した三つの密室犯罪が収められていますので、合わせてお読みください。

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