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『猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数』 北山猛邦|あとがきのあとがき|webメフィスト
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あとがきのあとがき

『猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数』

北山猛邦 (きたやまたけくに)

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2002年、『「クロック城」殺人事件』で第24回メフィスト賞を受賞しデビュー。近著の『私たちが星座を盗んだ理由』は「このミス2012」でランクイン。

 長編連載として、本誌で四回にわたって掲載させていただいた『不可能犯罪定数』あらため『猫柳十一弦の後悔』ですが、書き始めるにあたって百パーセントの準備ができていたわけではなく、僕にとってはかなり綱渡りの執筆だったといえます。書き始める前には全体の九割近くを整えてからでないと怖くて書けないほうなのですが、連載ということで書きながら展開を組み立てていくというやり方をしなければなりませんでした。

 とはいえ、連載一回目にあたる第一章を書くのはかなり楽しかったです。大学生と探偵が孤島に集まって閉鎖状況の中で奇妙な連続殺人が起こる……お約束の展開ですがやっぱりこういうのは書いていて楽しいです。連載一回目の段階では、とりあえずあとのことは考えずに「ここまで書こう」という中継地点までの目標しかなくて、先の長いゴールまでの道のりから目をそらしていたので、まるでピクニック気分でしたよ。

 そこから先は、毎回整合性を保ちつつ新しい展開を描いていくという、なかなか過酷な道のりが続きましたが、苦労話は置いといて。

 連載二回目以降は、毎度猫柳先生が負傷するところで終わるというオチにしました。どうして負傷するのかは読んでいただければわかると思いますが、基本的には“猫まっしぐら”の結果です。このままだと先生は長生きできなそうですけど、そこは助手たちに守ってもらうしかありませんね。

 ちなみに僕の理想とする名探偵像というのは、推理力に優れるのは当然ですが、凶暴な犯人に対して格闘で勝てるだけの心得があり、きざで紳士でハードボイルド、というとにかくかっこいい探偵です。そういう意味では、猫柳先生はその対極に位置します。どうしてこうなってしまったのでしょうか。

 当初はシリーズとして続けるつもりはありませんでしたが、書いているうちに、この設定でミステリの可能性にいくつか挑戦できそうな気がしてきましたので、あと何回か書きたいと思っています。次の事件では、猫柳先生たちが山間の集落で因習にまつわる殺人事件に巻き込まれる予定です。

 はたして彼女が何処へ向かって突っ走るのか、そして彼らは何事もなく大学生活を送れるのか、みなさん見守っていてください。

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