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『虚構推理 鋼人七瀬』 城平京|あとがきのあとがき|webメフィスト
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あとがきのあとがき

『虚構推理 鋼人七瀬』

城平京 (しろだいらきょう)

profile

奈良県出身。第8回鮎川哲也賞最終候補作『名探偵に薔薇を』でデビュー。その後「月刊少年ガンガン」にて、『スパイラル』シリーズ、『ヴァンパイア十字界』『絶園のテンペスト』などの漫画原作を手がける。

『虚構推理 鋼人七瀬』という作品は私にとって約七年ぶりの小説作品です。そして内容は「ミステリ」の範疇にどうにかおさまるものと考えて書いたのですが、出版後の評や感想に「これはミステリではない」という意見を多々見ることとなりました。「不可解な事件が起こり、それに対して読者に提示した情報をもとに、合理的解決を披露する物語なのだからミステリと言ってもいいではありませんか」と思いつつも、「妖怪や幽霊が当たり前に実在し、まごうことなき事件の真相をすっかり明らかにした後で、四種類の『嘘の解決』をあらかじめ嘘とことわった上で並べる小説はミステリと違う方向性のものかなあ」と反省もしております。

 怪異の実在するミステリは珍しくありませんし、虚構の解決を扱ったミステリ、多重解決ミステリも珍しくはなく、いくつかの特殊設定も既存の妖怪研究に基づくものですし、個人的にはこの作品でミステリとして特段変わったことはしていないと認識しているのですが、いやはや、うまくいかないものです。きっと日頃の行いが悪いせいか、前世での行いが悪かったせいでしょう。もっと功徳を積まねばなりません。そうすれば来世では折り目正しい本格ミステリを書けるようになっていることでしょう。今世では無理そうです。

 というわけでこの作品を胸を張って「ミステリ」と呼ぶのはいささか問題があるようですが、「ミステリと同じものでできた」作品ではあるかと思います。『虚構』がテーマですが、読者に対しては何が嘘で何が真実か早い段階で明示し、虚実のあやふやな所はありません。これはこれでフェアで明朗な内容と思っていたりします。

 またこの作品は一応シリーズ化を視野に作っておりまして、どうやら続編を出してもよい気配になっております。ですので次は「ギロチン三四郎」とか「魔人ピノキオ」とかいうサブタイトルで何か書けないかと考えているのですが、サブタイトルしか考えていないのでまた七年後になるかもしれません。そして懲りずに正統ミステリから外れていそうです。ちなみに「ギロチン三四郎」というサブタイトルは、担当編集者さんに笑いながらダメと言われました。

 では、できればまたの機会に。

 漫画の方は七年と言わず、このところ毎月働いていますよ。



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