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『幻人ダンテ』三田誠|あとがきのあとがき|webメフィスト
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講談社ノベルス

あとがきのあとがき

『幻人ダンテ』

三田 誠 (さんだまこと)

profile

兵庫県在住。本作で、講談社ノベルスに初登場。主な著作に、『レンタルマギカ』シリーズ(角川スニーカー文庫)、『イスカリオテ』シリーズ(電撃文庫)などがある。

 一見して分かりますように、『幻人ダンテ』は講談社ノベルスとしては珍しいカバーになっています。

 というのも、『ペルソナ4』など若いゲーマーの間で人気の絵師・副島成記さん主体となった、イラストを全面に押し出したつくりなのですね。同時に発売された『V.T.R.』も同じような感じになっているので、すわ編集部の戦略かと見えるのですが(実際にある程度そうなのですが)、『幻人ダンテ』一作について言えば、実はもうちょっと別の理由があったりします。

 というのも、もともと僕は中高生向けのライトノベルを主戦場としている作家でして、そちらのスケジュールが過密だったため、講談社様からのご依頼を数年ほど放置したままだったのです(ああ、編集部様、申し訳ない!)。

 しかし、編集側も一筋縄ではいきません。

 実際に二年間ぎっちりと詰まったスケジュール表を提出した僕に、「厳しい状況は理解しました。しかし三田さん、なんか無理でも書いちゃうような方法とかありませんか?」と申し入れられたのです。以下、その場のやりとり。「HAHAHA、じゃあ僕が『ペルソナ3』と『4』大好きなんで、副島さんにイラストをやってもらえたら……いやもちろん冗談ですが……」「わっかりました!」「……は?」(一週間後)「副島さんスケジュールとれました!よろしくお願いしますね!」

 ええまあ、講談社文芸図書第三出版部(当時はちょっと違ったんですが)の恐ろしさを知った一幕でありました。こちらも副島氏のイラストに負けぬよう、より力が入った一冊です。普通にミステリでもなく、単純にライトノベルでもなく、その狭間を歩くような仕上がりとなっています。

 誰でもあり、誰でもない―仮面をかぶった幻人ダンテ。

 探偵だけど探偵になりきれない観測者・天草しじま。何もかもを解決できる能力を持っているくせに、けして中核には踏み込んでこない刑事・志摩環。本当に仮面をかぶっているのは誰なのか。

 どこかふざけて、上っ面だけを撫でたようにカルくて、少しだけ哀しい物語を、皆様に楽しんでいただければ幸いです。

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