初めまして。天祢涼です。
『キョウカンカク』をメフィスト賞に投稿したのが二〇〇七年八月。それから二年以上、改稿を重ねてきました……などということが飽き性の私にできるはずもなく、思いついた側から書き上げた小説を投稿し続け、いわゆる「常連さん」として座談会を賑わせて(?)きました。
その後、編集部と何度か(何度も)やりとりをした末、回り回って『キョウカンカク』でデビューさせていただくことに。
メフィスト賞初投稿作であり、かつ、人生で初めて書き上げた長編ミステリでデビューできた自分は幸せ者だなあ、と、できあがった本を見てしみじみ思ってます。
さて、本作には「共感覚」という知覚現象が登場します。これは一つの刺激に対し、本来反応する以外の感覚も附随して反応するというもの。具体的には、濃い味のものを食べると皮膚に尖りを感じたり、匂いを嗅ぐと音が聞こえたりします。希少ながらも、実在する感覚です。
主人公は、音が見える共感覚者です。ただし、フィクションということで甘えさせていただき、現実の共感覚を一部、大幅に逸脱・脚色した共感覚者にしてます。
オチを光らせるために頭を捻った結果、ああいう形になりました。
要は『キョウカンカク』という話はオチを先に決めて、そこから逆算して設定を作っていったわけです。なので、「キャラクターがよく書けてる」と褒めていただくと、嬉しい半面、ちょっと当惑もします。そもそも主人公自体、自主的にボツにしたホラー小説のヒロインからスライド登板させたわけでして(ちなみにそっちでは、現行と違って単なるコギャルでした)。
というわけで、ふざけた連中が登場している割に真面目なミステリ『キョウカンカク』、お楽しみいただければ幸いです。
なお、投稿時の自分が知ったら卒倒しそうですが、ありがたいことに、この話は「美夜シリーズ」として二作目以降も書かせていただけることになりました。
二作目『月明かりの闇(仮)』では、一作目の雰囲気を踏襲しつつも薄気味悪いものにして、早ければ夏前に刊行を……と思っていたのですが、前作では私の完全支配下にあった登場人物達(特に主人公)が勝手に動き出したため、現在、プロットを大幅に改変中。とにかく楽しんでいただけるミステリになるよう、がんばります。
- 『これはミステリではない』 竹本健治
- 『法廷遊戯』 五十嵐律人
- 『詐欺師は天使の顔をして』 斜線堂有紀
- 『希望と殺意はレールに乗って アメかぶ探偵の事件簿』 山本巧次
- 『#柚莉愛とかくれんぼ』 真下みこと
- 『ミッドナイツ』 山口雅也
- 『ネタバレ厳禁症候群 〜So signs canʼt be missed!〜』 柾木政宗
- 『絞首商會』 夕木春央
- 『創竜伝14〈月への門〉』 田中芳樹
- 『家族パズル』 黒田研二
- 『アロワナを愛した容疑者 警視庁いきもの係』 大倉崇裕
- 『貌のない貌 梓凪子の捜査報告書』 松嶋智左
- 『友達未遂』 宮西真冬
- 『線は、僕を描く』 砥上裕將
- 『千年図書館』 北山猛邦
- 『うつくしい繭』 櫻木みわ
- 『奇科学島の記憶 捕まえたもん勝ち!』 加藤元浩
- 『試験に出ないQED異聞 高田崇史短編集』 高田崇史
- 『暗殺日和はタロットで』 古川春秋
- 『オホーツク流氷殺人事件』 葵 瞬一郎
- 『レベル95少女の試練と挫折』 汀こるもの
- 『異セカイ系』 名倉 編
- 『体育会系探偵部タイタン!』 清水晴木
- 『清らかな、世界の果てで』 北里紗月
- 『人間に向いてない』 黒澤いづみ
- 『閻魔堂沙羅の推理奇譚』 木元哉多
- 『コンビニなしでは生きられない』 秋保水菓
- 『毎年、記憶を失う彼女の救いかた』 望月拓海
- 『緋紗子さんには、9つの秘密がある』 清水晴木
- 『ギキョウダイ』 嶋戸悠祐
- 『禁じられたジュリエット』 古野まほろ
- 『双蛇密室』 早坂 吝
- 『神の時空 ―京の天命―』 高田崇史
- 『溝猫長屋 祠之怪』 輪渡颯介
- 『もう一つの「バルス」―宮崎駿と『天空の城ラピュタ』の時代―』 木原浩勝
- 『未来S高校航時部レポート 新撰組EZOで戦う!』 辻 真先
- 『水の都 黄金の国』 三木笙子
- 『ホームズ四世』 新堂冬樹
- 『倒叙の四季 破られたトリック』 深水黎一郎
- 『誰も僕を裁けない』 早坂吝
- 『ペンギンを愛した容疑者 警視庁総務部動植物管理係』 大倉崇裕
- 『幸腹な百貨店』 秋川滝美
- 『その可能性はすでに考えた』 井上真偽
- 『たとえ、世界に背いても』 神谷一心
- 『深紅の断片 警防課救命チーム』 麻見和史
- 『怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関』 法月綸太郎
- 『黒薔薇 刑事課強行犯係 神木恭子』 二上 剛
- 『かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡。』 最果タヒ
- 『パリ症候群 愛と殺人のレシピ』 岸田るり子
- 『無貌伝 ~奪われた顔~』『無貌伝 ~最後の物語~』 望月守宮
- 『純喫茶「一服堂」の四季』 東川篤哉
- 『都知事探偵・漆原翔太郎セシューズ・ハイ』 天祢涼
- 『蜂に魅かれた容疑者』 大倉崇裕
- 『五覚堂の殺人』 周木律
- 『未来S高校航時部レポート TERA小屋探偵団』 辻 真先
- 『渦巻く回廊の鎮魂曲(レクイエム) 霊媒探偵アーネスト』 風森章羽
- 『さいとう市立さいとう高校野球部 甲子園でエースしちゃいました』
あさのあつこ - 『鬼神伝 龍の巻』 高田崇史
- 『ただし少女はレベル99』 汀こるもの
- 『神の時空 ―鎌倉の地龍―』 高田崇史
- 『双孔堂の殺人 ~Double Torus~』 周木 律
- 『月と太陽』 瀬名秀明
- 『さくらゆき 桜井京介returns』 篠田真由美
- 『聖者の凶数 警視庁捜査一課十一係』 麻見和史
- 『硝子の探偵と消えた白バイ』 小島正樹
- 『美都(みと)で恋めぐり』 北 夏輝
- 『水晶の鼓動 警視庁捜査一課十一係』 麻見和史
- 『狼と兎のゲーム』 我孫子武丸
- 『綾辻行人殺人事件 主たちの館』 天祢涼
- 『404 Not Found』 法条 遥
- 『蔵盗み 古道具屋 皆塵堂』 輪渡颯介
- 『猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条』 北山猛邦
- 『セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎』 天祢涼
- 『プライベートフィクション』 真梨幸子
- 『カマラとアマラの丘』 初野晴
- 『増加博士の事件簿』 二階堂黎人
- 『戦車のような彼女たち』 上遠野浩平
- 『カンナ 京都の霊前』 高田崇史
- 『魔境の女王陛下 薬師寺涼子の怪奇事件簿』 田中芳樹
- 『猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数』 北山猛邦
- 『天山の巫女ソニン2 海の孔雀』 菅野雪虫
- 『さよならファントム』 黒田研二
- 『アケローンの邪神 天青国方神伝』 高里椎奈
- 『覇王の死 二階堂蘭子の帰還』 二階堂黎人
- 『空を飛ぶための三つの動機THANATOS』 汀こるもの
- 『QED 伊勢の曙光』 高田崇史
- 『闇の喇叭&真夜中の探偵』 有栖川有栖
- 『バミューダ海域の摩天楼』 柄刀一
- 『虚構推理 鋼人七瀬』 城平京
- 『メルカトルかく語りき』 麻耶雄嵩
- 『生霊の如き重るもの』 三津田信三
- 『古道具屋 皆塵堂』 輪渡颯介
- 『縛り首の塔の館 シャルル・ベルトランの事件簿』 加賀美雅之
- 『シンフォニック・ロスト』 千澤のり子
- 『ハウンド 闇の追跡者』 草下シンヤ
- 『聖地巡礼』 真梨幸子
- 『夜の欧羅巴』 井上雅彦
- 『眠り姫とバンパイア』 我孫子武丸
- 『ひなあられ』 日日日
- 『燔祭の丘 建築探偵桜井京介の事件簿』 篠田真由美
- 『小鳥を愛した 容疑者』 大倉崇裕
- 『琅邪の鬼』 丸山天寿
- 『薔薇を拒む』 近藤史恵
- 『光待つ場所へ』 辻村深月
- 『星々の夜明け フェンネル大陸 真勇伝』 高里椎奈
- 『幻人ダンテ』 三田 誠
- 『キョウカンカク』 天祢 涼
- 『プールの底に眠る』 白河三兎
- 『幻獣坐』 三雲岳斗
- 『妖精島の殺人 上・下』 山口芳宏
- 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』 辻村深月
- 『奇蹟審問官アーサー 死蝶天国』 柄刀一
- 『残酷号事件 the cruel tale of ZANKOKU-GO』 上遠野浩平
- 『萩原重化学工業連続殺人事件』 浦賀和宏
- 『トワイライト・ミュージアム』 初野晴
- 『完全版 地獄堂霊界通信(1)』 香月日輪
- 『無貌伝~双児の子ら~』 望月守宮







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