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『美都(みと)で恋めぐり』 北 夏輝|あとがきのあとがき|webメフィスト
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あとがきのあとがき

『美都(みと)で恋めぐり』

北 夏輝 (きた なつき)

profile

1986年、大阪府生まれ。大学院在学中。2012年に『恋都の狐さん』で第46回メフィスト賞を受賞しデビュー。

 本書はタイトルどおり、三都(京都・大阪・奈良)を舞台にした恋愛小説です。

 三都はいずれも古い歴史を持っている上、観光地としても発展してきました。例えば、友達と出かけるなら、大阪のミナミで食べ歩きなんていかがでしょう。たこ焼き、豚まん、アイスキャンデーなど、安くて美味しい食べ物がたくさんあります。また、毎月二十一日に京都の東寺で開催される弘法市では食べ物の屋台だけでなく、千円均一の着物の屋台や篠笛売り、アンティーク白磁や古銭を取り扱う古道具屋なんかも出店されていてとても楽しいです。

 神社仏閣めぐりがお好きな方には、毎年十二月に奈良の春日大社で催行されるおん祭がお勧めです。今回作中で描いた遷幸の儀に関しては、春日大社の禰宜さんから「書かれていることに間違いはありません。太鼓判を押します」とのお言葉を頂戴致しました。本書には書けなかったのですが、十七日の午後に行われるお渡り式も見ごたえがあります。途中で猿楽や田楽の奉納、競馬、子供大名行列なんかもあって、何度見ても飽きません。幸せの石灯籠の噂も筆者の創作ではありません。是非探してみてくださいね。

 三都にはロマンチックな場所も多数あります。デートコースはリア充ライフを満喫している知人の意見を参考に、そのうちとっておきの一つを丁寧に描いてみました。

 作中で恋物語を繰り広げるのは、美形なのになぜか女物のカツラを愛用している男子学生や坊主頭の書家に熱を上げる女子高生など一風変わった人たちですが、皆、純度百パーセントの懸命な恋をしています。主人公たちと同年代の方にはもちろん、中高年の方にも恋のときめきなどを思い起こしていただけましたら嬉しいです。

 また、本書にはちょっとしたクイズやトリビアもちりばめておきましたので、主人公たちと謎解きを楽しんでいただければと思います。たとえば、皆様、水質改善のために道頓堀川で養殖されている生物の名前をご存知ですか? 意中の相手と一緒に食べると両想いになれる(かもしれない)食べ物は? 他にも「早起きは三文の徳」ということわざの由来や弘法大師の伝説など、知っているようで知らないエピソードを盛り込みました。

 読んでいただいた方に、日々の生活で一杯のココアのような安らぎを提供できましたら、筆者にとって至上の喜びです。


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