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『404 Not Found』 法条 遥|あとがきのあとがき|webメフィスト
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あとがきのあとがき

『404 Not Found』

法条 遥 (ほうじょう・はるか)

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第17回日本ホラー小説大賞の長編賞を『バイロケーション』(『同時両所存在に見るゾンビ的哲学考』改題・角川書店)で受賞しデビュー。他の著書に『地獄の門』(角川書店)、『リライト』(早川書房)などがある。

講談社ノベルスでははじめまして。
法条遥と申します。
 

 普段は角川書店でホラー文庫を、早川書房ではSFっぽいものを書かせて頂いています。

 

 そして今回、講談社さんで本作、『404 Not Found』を出させて頂きました。

 

 本書の著者の言葉で述べたように、本作の原型を書いたのは今から五年も前の事なので、当時の私がどういうつもりでこの作品を書こうと思ったのか失念してしまいましたが、確か、「自殺して死んだと思った主人公が、何故か生きている。おまけに時間が巻き戻っている」という所から始めたのだと思います。そして「自殺したのに何故死ななかったのだろう」さらに、「何故、時間が巻き戻されるのだろう」という二つの問題を解く為に、「そうだ、×××にすれば良い」と思いつき、ですが、それだけでは説得力が無いと気付き、「なら、×××である証拠に、この世界でないと成り立たないルールを利用しよう」と構築していった結果、こうした結末になりました。

 

 正直な所を言うと、「主人公=読んでいる自分」と、主人公に感情移入して読むタイプの人には「ふざけるな!」と怒られても仕方のない話だし、また感情移入まで行かなくても、「ラストはハッピーエンドであるべき」と考える読者には相当、受け入れがたい結末だと思います。

 

 私個人、この物語である人物たちの「関係を壊す」事によって、擬似的に「確かにそこには何かがあったんだ」と、示したつもりです。友情と書くと凄くイメージが良さそうですが、何か一つを優先するという事は、逆に考えれば他のものに対して排他的になるという事で、これが行き着いた先が、巷で言う所の「セカイ系」なのだと思います。だから、セカイ系には「正解」と「間違い」という選択肢は存在しない。「選ぶ」のは自分一人なのだから、その結果に正解はあっても間違いはない。でも、自分に対してはそれで良くても、他人から見れば、「それは、自己中心的と何が違うのか?」という事になると思うのです。

 

 だから、ラストで裕也は「何に」対して怒っているのか。逆に翔太は何故「これは違う」と思ったのか。

 

 何故、この物語は「404 Not Found」という結末を迎えるのか。

 

 本作を読んで、少しでも考えていただければ、作者冥利に尽きます。



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