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『セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎』 天祢涼|あとがきのあとがき|webメフィスト
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あとがきのあとがき

『セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎』

天祢涼 (あまねりょう)

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2010年に『キョウカンカク』で第43回メフィスト賞を受賞しデビュー。『葬式組曲』(原書房)が「2013本格ミステリ・ベスト10」第7位、第13回「本格ミステリ大賞」候補作に選出。

この小説は「国民は世襲議員に感謝しましょう」と口走るおバカな二世議員と、彼を支える生真面目なサムライ秘書のコンビが活躍(?)する、全五話から成る連作短編集です。第一話「公園」は『メフィスト』2011VOL.2掲載の短編「国会議員・漆原翔太朗」を全面改稿したもの。「新世代メフィスト賞作家総選挙」と銘打たれた人気投票企画に出品した一作で、覚えている人もいるかと思います。

「でも天祢涼の作品ってビリだったんじゃ?」と気づいたあなたは鋭い。そう、「国会議員・漆原翔太朗」は最下位。つまり、一番人気がなかったのです。

なのに連作短編化した理由は二つ。

第一の理由は、最下位とはいっても、上位とあまり差がなかったから。集計期間によっては、もう少し上に行けたかもしれないくらいの僅差。我が横浜ベイスターズと違って「惜しい」最下位だったわけですね。そのため「こんなの誤差の範囲。作品の質が劣るわけではない」と云い張ることができました。

しかし、それ以上に大きかったのが第二の理由。

「この主人公を大きな舞台で動かしてみたかったから」です。

「国会議員・漆原翔太朗」は原稿用紙五十枚という枚数制限がありました。この二世議員のキャラクターは、これだけで収まるものではない。もっと枚数を使い、派手なことをやらせればおもしろくなる。ミステリ作家の直感が、そう告げてきました。

幸い、担当P氏も同意してくれて連作化が決定。短編版から主人公の名前や秘書の設定を変更した上で、『セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎』の誕生と相成りました。おかげさまで読んでくれた人の評判はよいようで、「直感は間違っていなかった」とほっとすると同時に、大変ありがたく思っております。

ちなみに「続編はないの?」という声もいただいてますが、仮タイトル(仮であるにもかかわらず担当P氏から「そいつはちょっと」と難色を示されたので、公表は控えます)と、漠然としたアイデアの断片以外、なにも決まっていません。

そして続編が実現するか否かは、あなたの声援次第。そんなわけで、さあ、今のうちに本作を買って、「総選挙最下位からの下克上に貢献したぜ」と、将来、大きな顔ができるようになろう!


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