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『小鳥を愛した 容疑者』 大倉崇裕|あとがきのあとがき|webメフィスト
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あとがきのあとがき

『小鳥を愛した 容疑者』

大倉崇裕 (おおくらたかひろ)

profile

’68年生まれ、京都府出身。’97年、「三人目の幽霊」で第4回創元推理短編賞佳作を受賞。’98年「ツール&ストール」で第20回小説推理新人賞を受賞。『福家警部補の挨拶』や『白戸修の狼狽』など著書多数。

 十姉妹を飼い始めて、六年になる。見た目も地味で、鳴き声も地味。その代わり、繁殖力は旺盛で、とにかく増える。元は四羽だったが、あれよあれよという間に七十羽になった。

 カゴが合計七つ。毎日の餌、水がえ、掃除に一時間かかる。懸命に世話をするが、鳥たちは、私の顔を覚えてはくれない。私が部屋に入っていくたび、怖がって逃げ回る。餌代は毎月六千円。部屋には冷暖房完備。毎月の電気代は、怖くて言えない。

 さて、そんな十姉妹たちであるが、かわいくて仕方がない。くるっと丸い目で、怖々こちらを見上げている様子は毎日見ていても、飽きることがない。判ってもらえるとは思わないが、私には十姉妹がかわいいのである。「小鳥を愛した容疑者」はそんな、人には理解してもらえないペット愛を描いてみよう、というところからスタートした。毎回取材を行い、書き始めるころには、自分でもその動物が飼えるくらいに詳しくなる――というノルマを自らに課した。

 ヘビは都内にあるアパートで飼われていた。美しいコーンスネークをハンドリングさせてもらった。人なつっこいヘビで、私の首にくるくる巻きついた。

 カメは伊豆にいた。のんびりとした風貌のカメたちだが、好奇心が強く、しかも歩くのが速い。ふと気がつくと足下に来ていて、甲羅をぐりぐりと押しつけられた。

 フクロウは水戸にいた。広大な敷地の中、止まり木にずらりと並んで止まっていた。丸い目をきゅっと細めてこちらにアピールしている様子は、そのまま抱えて持って帰りたくなるくらいにかわいらしかった。

 約一年間、多くの場所に出向き、多くの方々にお世話になった。どなたも、動物を愛し、人を愛する、素敵な方ばかりだった。

 そんな幸せな一年を私にプレゼントしてくれたのは、我が家にいる十姉妹たちである。彼らがいなければ、この本の着想は得られなかっただろう。

 ありがとう、十姉妹たち。小松菜をたっぷり食べて、長生きしておくれ。

 小説を書き終わった後も、ペット情報は続々と寄せられている。横浜にはペンギンがいるらしいぞ!

 ペンギンって飼えるのか!?

「ペンギンを愛した容疑者」―― 書いてもいいですか?


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