『RPGスクール』というタイトルは、自分でRPGを作れるゲーム『RPGツクール』のパロディです。RPGで情操を育んだ少年時代の僕は、自分でもRPGを作ってみたいと思い『RPGツクール』を手に取りました。小説を書くより前のことですから、それが早坂吝の創作の原点ということになります。
さて、3作目は目先を変えて前2作とはまったく違う作品を書こうと思っていました。その結果RPGを題材にした本作が出来上がったのは、上記の体験と無関係ではないでしょう。実験機械的な『○○○○○○○○殺人事件』『虹の歯ブラシ』に不足していたと個人的に思う「物語のダイナミズム」「等身大のヒューマニズム」に注力するためには、童心に返る必要があったのかもしれません。『○』『虹』が苦手だった方にも読んでほしいと思っています。
まったく違う作品といっても、推理小説であるという根底は揺らぎません。クイーンで最も好きな作品を意識した犯人当てもあります。
RPGという題材を扱う上で最も苦心したのが、戦闘シーンをどうするかということでした。ゲームならボタンを押して「主人公の攻撃! モンスターに××のダメージを与えた!」で済むのですが、小説でそれをやるわけにはいきません。僕は『ポケットモンスターSPECIAL』や『HUNTER×HUNTER』といった頭を使って戦う漫画が好きで、ああいう知能戦を書いてみたいと常々夢想していたので、これを機会に大量投入することにしました。この敵はどうやって倒すんだろう、ということも推理してみてください。
一番好きなRPGは『ドラゴンクエスト7』です。あれこそ前述した「等身大のヒューマニズム」の極致です。いつかああいう繊細なテキストを書けるようになりたいと思いつつ、屈指の名曲『失われた世界』を聴きながら、本作のラストシーンを書きました。
早坂 吝(はやさか・やぶさか)
1988年、大阪府生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学推理小説研究会出身。2014年に『○○○○○○○○殺人事件』で第50回メフィスト賞を受賞し、デビュー。同作で「ミステリが読みたい! 2015年版」(早川書房)新人賞を受賞。他の著書に『虹の歯ブラシ 上木らいち発散』がある。
青春ほろ苦、ロープレ、超能力、推理合戦!
すべての要素が奇跡的に収まったミステリの可能性を広げる意欲作!!
ときわ書房IY船橋店 小峰麻衣子さん
RPGのバトルによるドキドキと、並行して進んでいく謎解きのワクワクがたまらない! 大垣書店イオンモールKYOTO店 辻香月さん
ゲーム&超能力に多彩な登場人物と伏線がたくさん!
説明するのが大変だから、まずは読んでみてください!!
書泉グランデ 近藤茂樹さん
新境地開拓! 驚きました!! シリーズ化をお願いいたします!! 旭屋書店なんばCITY店 出森郁子さん
キャラクター設定はこれまでの作品と変わらず魅力的。
らいち、いないじゃんとがっかりせず、安心してお手にどうぞ!
MARUZEN名古屋本店 竹腰香里さん
『○○○○○○○○殺人事件』で衝撃(笑撃?)のデビューをした早坂吝さんの第3作に「史上最もHな探偵」上木らいちは、残念ながら(?)出てきません。でも大丈夫! 実際にいそうな高校生たちや、一癖も二癖もある超能力者たちなど、キャラクター豊かな人物たちが勢揃い!「ゲームとミステリ」の楽しさ、面白さを巧みに絡めた「奇才」による新作を思う存分、満喫してください!! きっとまた驚きますから。