『さいとう市立さいとう高校野球部 甲子園でエースしちゃいました』このあまりに長いタイトルの一冊は、春の甲子園と温泉が重要なポイントとなっております。一巻目の『さいとう市立さいとう高校野球部』(二巻目ほどは長くない、でも、まったく捻りのない、そのまんまのタイトルです)は夏の地方大会と温泉が重要ポイントでしたから、三弾目があるとしたら、秋季大会と温泉が深くかかわってくるのでしょうか。そう、実はこの作品、野球少年ではなく温泉少年が主人公なのです。温泉好きな野球少年ではなく、野球が大好きな温泉少年の話なわけで、そのあたりをちょいと頭に入れつつ読んで頂けると、またおもしろさの幅が広がる……のでしょうか。あまり自信はありません。また、温泉少年とは単なる温泉好きでも温泉卵のように生と茹での中間にいるという意味でもありません。どんな意味なのか、読んでからのお楽しみです。よろしく。
あさのあつこ
あさのあつこ
岡山県生まれ。1997年、『バッテリー』(教育画劇)で第35回野間児童文芸賞、また2005年に『バッテリー』全6巻で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。2011年には『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞した。著書に『テレパシー少女「蘭」事件ノート』シリーズ(講談社青い鳥文庫)、『The MANZAI』(ポプラ文庫)、『NO.6』(講談社YA! ENTERTAINMENT)、『待ってる 橘屋草子』(講談社)ほか多数。