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『眠り姫とバンパイア』我孫子武丸/『夜の欧羅巴』井上雅彦|講談社ノベルス

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かつて子どもだったあなたと少年少女のための―― ミステリーランド第17回配本
画像をさわってみてね 『3年ぶりに会ったパパ』の重大な秘密は? 夜の怪物たちと少年のあくなき闘い!

『眠り姫とバンパイア』
著者:我孫子武丸
絵:MARUU

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『夜の欧羅巴』
著者:井上雅彦
絵:小島文美

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『眠り姫とバンパイア』あらすじ 
母とふたり暮らしの小学5年生・相原優希(あいはらゆうき)は、居眠りばかりしてしまうので、子供の頃から「眠り姫」と呼ばれていた。居眠り癖もあり学校になじめない優希を心配した母はお姉さん代わりの家庭教師をつけていたが、大好きだった美沙先生はアメリカへ留学することに。その代わりの新しい家庭教師・荻野歩実に、優希は大切な秘密を打ち明ける。その秘密とは、父親が3年ぶりに会いに来てくれた、というものだった。母とふたりで暮らしている理由を知らなかった歩実は、前任の美沙に事情を聞いてみるのだが……。父は本当に戻ってきたのか? 家族に秘められた謎とは? 『夜の欧羅巴』あらすじ 
宮島レイ、12歳。母親は有名な吸血鬼画家、ミラルカ。ふたりきりの生活だけれど、仲良く幸せに暮らしていた。ところが、ミラルカは彼の前から忽然と姿を消してしまった……。 そんなある日、3人の刑事が彼女の消息を訪ねにやってくる。とある殺人現場に、彼女の絵の切れ端が落ちていたという。なんと、国際的な陰謀に捲きこまれたかも知れない! 母さんはヨーロッパに? 助け出せるのはぼくだけだ! ところが、レイに残されたのは、たった一冊の幻の画集。鍵を握るのは、不思議な少女。異国への旅に踏み切るレイを、追ってくるのは国際警察? それとも闇の異形たち? 妖しくも美しい国から国へ、スリルとホラーとサスペンスの冒険がはじまる……!

著者コメント

我孫子武丸さん

おとなになった人間にとってみると、こどもというのは一種の病気のようにしか思えません。だからいつもこども向けの作品を書こうとすると、病んだ話になってしまうのでしょう。……いや、おとな向けでも同じか。

プロフィール
我孫子武丸さん

我孫子武丸(あびこ・たけまる)

一九六二年兵庫県生まれ。天秤座。A型。京都大学文学部哲学科中退。在学中は京都大学推理小説研究会に所属。一九八九年『8の殺人』でデビュー。同じ探偵役の速水三兄妹が活躍する作品に『0の殺人』『メビウスの殺人』がある。「人形シリーズ」などの明るい作品や、『殺戮にいたる病』などの重いタッチの作品など、幅広い作品を手がけている。ゲームにも詳しく、シナリオを担当したゲームソフト『かまいたちの夜』は大ヒットした。また本格推理小説への造詣および豊富な知識などからテレビ番組『マジカル頭脳パワー!!』『超難解推理クイズ 頭脳警察』にブレーンとして参加したこともある。他の著書に『探偵映画』『弥勒の掌』『警視庁特捜班ドットジェイピー』『さよならのためだけに』など。

井上雅彦さん

講談社ノベルスHPをお愉しみのみなさん、はじめまして。
『夜の欧羅巴』の作者の井上雅彦です。
この作品は〈ミステリーランド〉という子どものためのレーベルに書いたのですが、僕の代表作になるかもしれない。そんな予感がしています。というのも、僕の好きなものばかりをぎゅうぎゅうに詰め込んだ、濃厚リキュール入り欧風スイーツみたいな物語だからです。国際的な事件に巻き込まれるスパイ・スリラーの雰囲気と、少年少女の恋と冒険、そして、吸血鬼や狼男や異形のモンスターたちが入り乱れた、ちょっと他にはないような物語になっていると思います。日本のお化けもいいけれど、ヴァンパイアのほうがちょっぴり好き、という方には、特に喜んでいただけるかも。 ぜひ、お読みいただけると、うれしいです。

プロフィール
井上雅彦さん

井上雅彦(いのうえ・まさひこ)

一九六〇年東京生まれ。山羊座 。幼い頃から「ミステリーゾーン」や「ヒッチコック劇場」などのテレビ番組に影響されて、怪奇幻想、SF、そしてミステリに並々ならぬ関心を抱く。その後、中学生の頃からショートショートを書き始めて、一九八三年に星新一ショートショート・コンテストで「よけいなものが」が優秀賞を受賞し、作家としてデビュー。その後、ホラー、ダーク・ファンタジー、幻想ミステリの分野で、多岐にわたり作品を発表し続ける。一九九七年からは書き下ろしホラーアンソロジー『異形コレクション』の編纂も手がけ始める。二〇一〇年一〇月現在、第46巻まで出ており、著者のライフワークの一つとなっている。
そのほかの著書に『竹馬男の犯罪』『遠い遠い街角』などがある。

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担当者コメント

眠り姫とバンパイア

『少年たちの四季』などの作品で、思春期を瑞々しく描く青春ミステリでも定評のある我孫子武丸さんが、満を持しての「ミステリーランド」登場です。引きこもりがちな小学5年生の少女・優希が新任家庭教師・歩実に打ち明けた「家族の秘密」を巡り、話は謎に満ちて進んでいきます。また、勉強以外にも大切なことがあると教える歩実の意見には頷けるところが大!少年少女はもちろん、大人の方にも楽しんでいただけること、間違いなしです!!

夜の欧羅巴

最近、ワクワクするような小説を読みましたか? これは、そんな心躍るような気持にさせてくれる極上の物語です。井上さんならではの燦めき、そして幻想的な世界の中で、少年が母を探し求めます。古めかしい言い方になってしまいますが、愛と友情、そして勇気に満ちあふれた作品です。また、作品に彩りを加えて下さっている小島文美さんの素晴らしいイラストにも要注目です!

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スペシャルQ&A

我孫子武丸さん

子供のころ(10歳くらい)に読んだ本で、一番思い出に残る本、好きだった本を教えて下さい。

小4の時、初めて自分のお小遣いで買った大人向けの本が星新一だったと思います。しばらく星新一を読みあさっていました。
あとは、いとこのお兄さんから譲ってもらった創元推理文庫のクロフツ、カーといったミステリの古典ですね。

その頃夢中だったもの、夢中だったことは。

意外にも、電子工作が好きで、ハンダごてを持ってラジオを作ったりアマチュア無線の免許を取ろうと勉強したりしていました。今だったらきっとコンピュータに熱中していたことでしょう。

10歳の頃の自分に対して今言いたいことは。

先生に再三「姿勢を正せ」と言われてるのにバカにして全然聞いてないだろ? ちゃんと聞いといた方がいいぞ! 後で腰が悪くなるからな!

現在10歳の子供たちに言いたいことは。

おとなの言うことが全部正しいなんてことはもちろんないし、いつでも正しいおとななんてのもいない。じゃあ誰の、どの言葉を信じた方がいいのかは結局自分で考えるしかない。
でも、考えたあげく「やっぱり間違ってる」と思うのにそれを信じて「やっぱり間違ってたじゃないか!」と後悔するのと、自分の考えに従って「あの人の言葉の方が正しかった!」と後悔するのなら、ぼくは後者の人生の方がいいと思う。自分の人生なんだから。

井上雅彦さん

子供のころ(10歳くらい)に読んだ本で、一番思い出に残る本、好きだった本を教えて下さい。

『長い長いお医者さんの話』カレル・チャペック(中野好夫訳)。
長いのはタイトルだけで、短篇集。作者は、世界で最初に「ロボット」という言葉を発明したことで有名なチェコの作家だけど、これはSFというより創作童話。郵便局の内部だけで完結する魔法の物語や、妖精や怪物の病気を治す医者など、驚異の読書体験でしたね。陰陽師という言葉も、10歳の頃この本で覚えた。良質のモダン・ファンタジーです。一話の中に入れ子構造でたくさんの話がはいっているので、タイトルばかりでなく、内容も長い話なのかもしれない。(実はいろんなところで同様の質問に複数冊答えてきたけれど、この一冊だけはまだ答えてなかった。だいじな本なので、どうしても紹介したかった本です)

その頃夢中だったもの、夢中だったことは。

粘土細工での怪物造形。架空の特撮ドラマの怪物図鑑(クレヨンで描き、ホッチキスで製本した)。クラシック(風)音楽の作曲(主に『くるみ割り人形』『動物の謝肉祭』のような様式の組曲。ベースとなる物語や設定もオリジナルで考えた)。ワインおよびブランデーの製造(客のみやげの葡萄などを酵母菌で発酵させる。蒸留はフラスコとアルコールランプ、冷却器はフリードリヒ型が欲しかったがデパートに売ってなかったので試験管で代用)と、できた酒のボトルやラベルのデザインの考案、および開高健風のコピー(テレビCM用と新聞広告用を別々に)考案。大阪万国博を凌ぐ規模の万国博覧会の各国パビリオンの造形(たいてい、ヤクルトの空き容器を使用。国名は架空ではなく当時の実在の国家)と、そのガイドブックの執筆。他にも、いろいろ夢中になったが、書ききれない。

10歳の頃の自分に対して今言いたいことは。

考えてみたら、キミが想像したようなオトナになってるよ。 毎日がドラマティックだが、なかなか面白いもんだぜ。

現在10歳の子供たちに言いたいことは。

やりたいことを、ガマンせず、全部やってみよう。
もし、できなければ、エンリョなく、夢を見よう。

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あとがきのあとがき

眠り姫とバンパイア あとがきのあとがきを読む
夜の欧羅巴 あとがきのあとがきを読む

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ミステリーランドスペシャルギャラリー

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ミステリーランドって?Q&A & 既刊紹介

ミステリーランドとは?

大人にはとびっきりの興奮を、子どもには未来の夢を贈るシリーズです。
キャッチコピーは“かつて子どもだったあなたと少年少女のための”ミステリーランド。

執筆陣は?

すべて第一線で活躍するミステリー作家による、書き下ろしです。第1回配本は、小野不由美さん、殊能将之さん、島田荘司さん。
ほかには >>既刊リストへ

既刊は?

今回で17回目の配本、計28冊です。

コンセプトは?

ブックデザインを担当した祖父江 慎さん曰く、「今の子どもたちは、本をプレゼントされてもそれほど喜ばなくなってしまいましたが、僕が子どものころは、本って特別なものだったんです。プレゼントされて喜ばれる特別感をイメージして作りました」。子どもは面白がり、大人は懐かしがる──そんなコンセプトで、多くの工夫がちりばめられています。

ブックデザインは?

(祖父江さん)「時代とともに徐々にミステリに挿絵が入らなくなってきてしまったんです。なるべくイラストが多く入っている本を目指して、作品ごとに気鋭イラストレーターをたてて、いっぱい描いてもらいました。しかもカラフルに。函には穴をあけて、そこから表紙の絵の一部がのぞく、という作りになっています。また丈夫さも重視して、糸かがり綴じ、製本は、今ではほとんど行われなくなってしまった「継ぎ表紙」にして、背のクロスに使用した色と、綴じ糸との色をそろえたりしています。さらに本文ページの角は丸くしているんですよ」。

そんな贅を尽くした装幀は、第38回造本装幀コンクール展 文部大臣賞を受賞しています。その分、価格は高めになっています。

何歳くらいから楽しめる?

ミステリーランドを企画した当時の担当編集者が、作家さんに依頼するときの言葉が「本を読み始めた頃の自分にプレゼントしたくなる本」。小学生から楽しめる内容です。

ミステリーランド「あとがき」のタイトルは、「わたしが子どもだったころ」。これは、エーリヒ・ケストナーの名作からとられました。
次回第18回配本は今夏の予定。恩田陸さんの登場です。お楽しみに!

ミステリーランド既刊紹介

第1回配本

『くらのかみ』

『くらのかみ』
小野不由美 著
村上勉 絵

あの『十二国記』の著者小野不由美が、犯人探しさらに座敷童子当てに挑戦!

第38回造本装幀コンクール展 文部科学大臣賞受賞!

『透明人間の納屋』

『透明人間の納屋』
島田荘司 著
石塚桜子 絵

ミステリー界の最尖端を天駆けつづける騎士島田荘司が、透明人間の謎を解明!

『子どもの王様』

『子どもの王様』
殊能将之 著
MAYAMAXX 絵

異能の才気ほとばしる殊能将之、団地の昼と夜、日常と非日常を鮮やかに描破!

第38回造本装幀コンクール展 文部科学大臣賞受賞!

第2回配本

『虹果て村の秘密』

『虹果て村の秘密』
有栖川有栖 著
矢吹申彦 絵

七色に輝くロジックの美

『魔女の死んだ家』

『魔女の死んだ家』
篠田真由美 著
波津彬子 絵

運命の女(ファム・ファタル)のふしぎな死

『ぼくと未来屋の夏』

『ぼくと未来屋の夏』
はやみねかおる 著
長野ともこ 絵

なぞいっぱい胸いっぱい

第20回うつのみやこども賞受賞!

第3回配本

『黄金蝶ひとり』

『黄金蝶ひとり』
太田忠司 著
網中いづる 絵

村にねむる想像を絶する宝

第21回うつのみやこども賞受賞!

『鬼神伝 鬼の巻』

『鬼神伝 鬼の巻』
高田崇史 著
村上豊 絵

なぜ鬼は退治されるのか?

『闇のなかの赤い馬』

『闇のなかの赤い馬』
竹本健治 著
スズキコージ 絵

きっかけは雷の神父直撃

第4回配本

『鬼神伝 神の巻』

『鬼神伝 神の巻』
高田崇史 著
村上豊 絵

「鬼」であることの誇りとは。

『いつか、ふたりは二匹』

『いつか、ふたりは二匹』
西澤保彦 著
トリイツカサキノ 絵

ぼくは猫になりました。

『探偵伯爵と僕』

『探偵伯爵と僕』
森博嗣 著
山田章博 絵

……!!……

第5回配本

『魔王城殺人事件』

『魔王城殺人事件』
歌野晶午 著
荒井良二 絵

「葉桜」か「魔王城」か!? …………………………難問だ。

第6回配本

『ほうかご探偵隊』

『ほうかご探偵隊』
倉知淳 著
唐沢なをき 絵

小学五年生経験者必読!

第7回配本

『ラインの虜囚』

『ラインの虜囚』
田中芳樹 著
鶴田謙二 絵

不朽の名作いま誕生。

第22回うつのみやこども賞受賞!

『神様ゲーム』

『神様ゲーム』
麻耶雄嵩 著
原マスミ 絵

まさに神わざ。

第8回配本

『カーの復讐』

『カーの復讐』
二階堂黎人 著
喜国雅彦 絵

怪盗vs.生霊
密室の謎を解けるか!?

第9回配本

『びっくり館の殺人』

『びっくり館の殺人』
綾辻行人 著
七戸優 絵

[館シリーズ]驚きの最新作!

『怪盗グリフィン、絶体絶命』

『怪盗グリフィン、絶体絶命』
法月綸太郎 著
本秀康 絵

次々としのびよる陰謀!!

第10回配本

『銃とチョコレート』

『銃とチョコレート』
乙一 著
平田秀一 絵

名探偵ロイズはぼくらのヒーロー!

第23回うつのみやこども賞受賞!

第11回配本

『ステーションの奥の奥』

『ステーションの奥の奥』
山口雅也 著
磯良一 絵

ぼくは吸血鬼になりたい!

第12回配本

『酸素は鏡に映らない』

『酸素は鏡に映らない』
上遠野浩平 著
toi8 絵

君も世界の支配者に?

第13回配本

『ぐるぐる猿と歌う鳥』

『ぐるぐる猿と歌う鳥』
加納朋子 著
久世早苗 絵

社宅に隠された秘密とは?

第14回配本

『野球の国のアリス』

『野球の国のアリス』
北村薫 著
謡口早苗 絵

やるしかない!
アリスはそう思ったんだ……。

第15回配本

『トレジャー・キャッスル』

『トレジャー・キャッスル』
菊地秀行 著
鈴木康士 絵

命がけの宝探し!
城に隠された秘密とは?

第16回配本

『ぼくが探偵だった夏』

『ぼくが探偵だった夏』
内田康夫 著
松尾たいこ 絵

浅見光彦、初の少年時代の物語!

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『古事記異聞 京の怨霊、元出雲』高田崇史 『またね家族』松居大悟 『修羅の家』我孫子武丸 『#柚莉愛とかくれんぼ』真下みこと 『希望と殺意はレールに乗って アメかぶ探偵の事件簿』山本巧次 高田崇史ONLINE

3月の新刊