―まずはシリーズ完結、おめでとうございます。とりあえず、今の心境をひとこと。
ありがとうございます。足掛け9年続けたシリーズでしたので、長かったですね。思い返してみれば、本当に大変でした。
最新作『零崎人識の人間関係』4作品に関してはいかがですか?
零崎一賊という集団がシリーズを書き続けているうちに、ちょっと『理想化』が進んでしまったというか、僕の中で格好いい奴らになりすぎてしまったんです。
そうじゃないんだ、ということに回帰する小説を書こうと思いました。特に人識に関してはその理想化傾向が強くなってしまって、これではいけないと。
なので、今までの小説で『すごく』なりすぎていた人識の『格好よさ』を潰さなきゃと思ったんです。
こんなすごい奴なわけはないし、こんなに格好いい奴がいるわけがない。決して無敵ではない、苦しみながら戦う部分もあるんだ。
『すごい』の裏には必ず『すごくない』部分があるんだ、そういうことを書きたかったんです。だから随所に人識の生の感情も出ている。
それはキャラクターや世界観を崩すということではなく、そうすることによって、初めてシリーズを終えることができるんです。
これは『戯言シリーズ』の時も同様ですが。
※このインタビュー全文は「メフィスト」2010、VOL .1(4月6日発売予定)に掲載。HPでは一部を抜粋、変更しました。
西尾維新です。
人間シリーズ最終作、関係四部作『零崎人識の人間関係』が出版されることになりました。
4冊同時発売です。
内容的にそれぞれ独立したお話なので、お好きな順番でお読みください。とりあえず書いた順番は『出夢』→『伊織』→『双識』→『戯言』です。話を考えた順番が丁度逆なのが面白い。
思い返してみれば人間シリーズも結構長い付き合いでしたが、これでひとまずひと区切りという感じで、いろいろ楽しかったです。
6月くらいに物語シリーズ『猫物語』も出版されると思うので、そちらもまたよろしくお願いします。
それでは。
西尾維新
2002年、『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』(講談社ノベルス)にて第23回メフィスト賞を受賞し、デビュー。デビュー作に始まる〈戯言シリーズ〉は西尾維新を代表するシリーズとなる。その後も精力的に執筆を続け、〈人間シリーズ〉、〈世界シリーズ〉、12ヵ月連続刊行の『刀語』(講談社BOX)などその作品の幅は広い。また、2009年夏には『化物語』がアニメ化され、爆発的な人気となり、名実ともにゼロ年代を代表する作家となる。その執筆意欲はとどまるところを知らない。若手作家の中で、今後の展開が最も期待される一人である。