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『プールの底に眠る』白河三兎|講談社ノベルス

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第42回メフィスト賞受賞作 「いつまでも読んでいたかった」──辻村深月 セミの鳴き声が名残惜しく響く。読みながら、何度もプールに漂う塩素の匂いをかぎ、心が夏の終わりに戻されていく。いつまでも読んでいたかった。『プールの底に眠る』白河三兎

担当者コメント

誰もが持っている、少年少女時代の淡い恋の思い出。夏の終わりのヒグラシの声。プールの塩素の匂い。そんな、心の片隅の小さな引き出しにそっとしまってあった、甘酸っぱくも切ない想いを思い出させる傑作です。辻村さんのコメントにもありますが、一行一行が愛おしく、終わりに近づくにつれ「ずっと読んでいたい、終わってほしくない」という思いから、ついついゆっくりと読んでしまいました。心の中の宝物。そう呼びたい作品です。

著者コメント

「プールの底から何が見える?」という好奇心から石川県へ。金沢21世紀美術館に「スイミング・プール」という体験型の作品があります。一見したところ普通のプールに見えるのですが、強化ガラスの上に約十センチの深さの水が張られているだけで、なんと、ガラスの下には部屋があるのです。
その部屋から水面を見上げると、上のプールサイドでこちらを覗き込んでいる揺らめく人影が見えます。水面の揺らぎに反射した日の光が溢れるプールの底で、この小説のイメージが湧きました。泳げない高校生のお話がふと。と言うのも、私が全く泳げないからです。猫と同じくらい水が苦手。
だからプールにはコンプレックスがあります。学校の水泳大会で泳げない生徒三人だけのビート板レースがあり、それは苦い思い出の一つ。プール・コンプレックスから小説が一つでき上がったからって、都合よく思い出が美化されません。今でも苦いまま。
そんな鬱積した気持ちが生んだ小説を読者がどう読むかは自由です。好きなように読んでください。ただ、ご存知のように小説はフィクションなので、作中にある迷惑行為を現実ですると、こっぴどく怒られます。そして回り回って私も怒られてしまうので、ご遠慮くださいませ。

profile

白河三兎(しらかわ・みと)
『プールの底に眠る』で第42回メフィスト賞を受賞しデビュー。

12月の新刊

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