『暗殺日和はタロットで』
著者:古川春秋
Q: | 「占い×サスペンス」、意外な組み合わせの本書、着想のきっかけを教えてください。 |
A: | なんとなく「殺し屋」を主人公にした話が書きたくて、当時興味を持った「占い」と掛け合わせてみたのがきっかけです。自分の行動を全て占いで決める、可笑しいんだか恐ろしいんだかわからない殺し屋がいたら、面白いんじゃないかなと。なぜ彼が占いを盲信するようになったのか、またその占いから決別しなければ大切なものを失うという岐路に立たされた時、どんな葛藤が生まれるのか。その過程と結末は、私自身もどうなることかとワクワクしながら書き進めました。 |
Q: | 占いに興味を持ったきっかけは? |
A: | 著名な占い師に占ってもらう機会があり、その時に自分ですら知らなかった身体的特徴を見事に言い当てられ、それまで占いに抱いていた価値観が180度変わりました。信じる信じないは別として、本当に当たるんだな、と。 |
Q: | 一番信じている占いは何ですか? |
A: | なんだかんだで一周しまして、初詣で引くおみくじが一番気になります。 |
Q: | この作品の読みどころは? |
A: | 読みやすさと展開が速いところ、どんでん返し。でしょうか。 |
Q: | どんな作家が好きな人にこの本を推薦しますか? |
A: | 赤川次郎先生や東野圭吾先生が好きな人にぜひ読んでいただきたいです。 |
Q: | 初めて小説を書いたのはいつ? どんな作品でしたか? |
A: | 2011年の東日本大震災を経験してからです。その当時東京にいて、直接的に大きな被害を受けたわけではないのですが、生まれて初めて死を意識しました。人生で最も衝撃を受けた事件といっても過言ではありません、その時に人生でやり残したことを一つ一つ洗い出し、潰していくことにしたんです。いつ死んでも悔いを残さないように。 その「やり残したことリスト」の一つが、「小説を書く」ことでした。 当時も今も映画が好きで、自分が好きなジャンルでこんな映画があったら面白いだろうなあ、と妄想を膨らませて書いたのが初めての小説です。バイオレンスとユーモアを詰め込み、かつ恋愛要素をちりばめたエンタメ作品です。 |
Q: | 作家を志したきっかけは? |
A: | 当時は作家になろうとは思っておらず、とにかく作品を書き残したいという意欲だけがありました。結果的に前述の初めて書いた作品が賞に選ばれ、気付いたら作家になっていました。 |
Q: | サラリーマンとしてフルタイムで働きつつ作家という顔も持つ古川さんですが、執筆はいつ、どこで? |
A: | 執筆は主に家とファミレスで、出勤前の朝と帰宅後の夜です。 |
Q: | 兼業作家ならではの「あるある」エピソードをいくつか教えてください。 |
A: | ●土日に執筆していると家族に文句を言われる。 |
Q: | 企業人と作家。正直、辛いのはどっち? |
A: | 作家です。企業は人ひとりいなくても回りますが、小説は自分が書かないと一行も前に進まないので。 |
Q: | 影響を受けた作家、作品は? |
A: | 村上春樹先生の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 京極夏彦先生の『姑獲鳥の夏』 |
Q: | 好きな映画は? |
A: | 『2001年宇宙の旅』、『パルプ・フィクション』、『ファイト・クラブ』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 |
Q: | 好きなテレビドラマは? |
A: | 『結婚できない男』、『池袋ウエストゲートパーク』、『ケイゾク』、『アンナチュラル』、『あまちゃん』 |
Q: | 休日、一番したいことは? |
A: | 旅行。 |
Q: | 今一番興味を持っているもの、ことは? |
A: | 花粉症に効くもの。 |
Q: | IT企業で働く古川さんイチオシの「注目アイテム」は? |
A: | Fire TV Stick |
Q: | 挑戦してみたい、書いてみたいテーマは? |
A: | 地元の熊本を舞台にした物語を書いてみたいです。あとは時代劇、恋愛ものなど、これまでに書いたことがない分野もいずれ挑戦してみたいです。 |
Q: | 10年後の理想の自分は? |
A: | 10年後も世に作品を出し続けている作家でありたいです。 |
Q: | 作家を目指す方に何か一言。 |
A: | 書こうかどうか悩んでいる方は、とりあえず一作書き上げるところから始めてみてはいかがでしょうか。 |
1977年熊本県生まれ。2012年『ホテルブラジル』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。IT企業に勤務するかたわら、執筆活動を続ける。著書に『エンドロール』、『二十八日のヘウレーカ! または教育実習生加賀谷貴志は如何にして心配するのを止めて教職を愛するようになったか』、『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』(原案:金城一紀)などがある。
交通事故や母の死……悲劇に次々と襲われながらも、前を向く女性ピアニスト。暗殺日をタロットで決める「占い」しか信じない一風変わった殺し屋。二人の周囲にうごめく裏社会の人間たち。先が見えないほどに謎が謎をよび、読み手を翻弄させるほどに二転三転。
私自身はこの作品を読んだときに、赤川次郎さんのサスペンスの読後感に相通ずるものを感じました。読みやすさとスピーディな展開も合わさり、サスペンス映画を観るかのごとく、一気読みで楽しい時間を過ごしてしまったんです。
『暗殺日和はタロットで』略して『暗タロ』、この面白さを皆様にぜひ味わって頂きたいと願っています。古川春秋作品初体験の方も大丈夫です。単純な言葉となりますが「ワクワク」「ドキドキ」を楽しめるエンタメです!!