『首の鎖』
著者:宮西真冬
定価:本体1,400円(税別)
人生のすべてを祖母と母の介護に捧げてきた勝村瞳子は、四十歳目前にして未来が見えない。妻の束縛ルールと執拗なDVに悩む丹羽顕は、母に認知症の疑いがあることを知り、愕然となる。心療内科で出会った二人は次第に心を通わせていく。だが……。
「――妻を、殺してしまいました」
「……すぐに行くから、待っていてください」
自首しようとする顕を止めて、遺体を隠そうと言い出す瞳子。はたして殺人の隠蔽は成功するのか?交錯する思惑と嘘。エスカレートする母と娘の愛憎。
予想外の結末が待ち受けるノンストップ・サスペンス!
1984年山口県生まれ。2017年に第52回メフィスト賞受賞作『誰かが見ている』でデビュー。趣味は読書と映画鑑賞。
第52回メフィスト賞受賞作『誰かが見ている』でデビューした宮西真冬さんの、待望の第2作です。デビュー作は、その巧みな構成と迫力あるサスペンスで高い評価を得ましたが、この第2作『首の鎖』でも、どんどん追い詰められていく女と男を鋭く、丹念に描いています。ラストに連続する逆転劇は、まさに予測不可能でしょう。200ページと長編としては短めですが、読み応え抜群の濃密なノンストップ・サスペンスをお楽しみください!
『虚(うつろ)の聖域
梓凪子の調査報告書』
著者:松嶋智左
定価:本体1,700円(税別)
元警察官にして探偵・梓凪子に舞い込んだ依頼は最悪のものだった。
理由はふたつ。ひとつは、捜査先が探偵の天敵とも言える学校であること。もうひとつは、依頼人が、犬猿の仲である姉の未央子であること。
大喧嘩の末、凪子は未央子の息子・輝也の死を捜査することになる。警察は自殺と判断したにもかかわらず、凶器をもった男たちに襲撃された凪子は、事件に裏があることを確信するが――。
責任を認めない教師、なにかを隠している姉、不可解な行動を繰り返す輝也の同級生――。
すべての鍵は、人々がひた隠しに守っている心のなかの“聖域”だった。
1961年生まれ、大阪府在住。元警察官。日本初の女性白バイ隊隊員でもある。
退職後小説の執筆を開始し、2005年に北日本文学賞、2006年に織田作之助賞を受賞。
2017年、本作で 第10回 島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞。
島田荘司さんに「男性ハードボイルド作家に読ませるのが楽しみだ」とまで言わせた衝撃のデビュー作がいよいよ刊行されます。下選考の段階から評判をよんだ本作。その秘訣は異色の女探偵・梓凪子にあります。人に嫌われてでも捜査に徹する探偵でありながら、世界一苦手なのは自分の姉。そう、なんといっても徹底して等身大なのです。時に愚痴を言い、時に泣き、それでも立ち上がる姿に思わず共感せずにはいられません。地道な捜査あり、アクションあり、戦慄の人間模様ありありの盛りだくさん。その上に、衝撃の「最後の一行」には、度肝を抜かれること間違いなし……!