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講談社ノベルス

『さようなら、お母さん』

『さようなら、お母さん』

著者:北里紗月

発売年月日:2017/4/12単行本

定価:本体1,500円(税別)

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島田荘司選 第9回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作 

その女は「毒」だ。身体を蝕み、心を壊す。
美しい義姉(あね)の周りで続発する死と災厄。
兄を亡くした妹は、親友とともに義姉の「本当の顔」に迫る。

原因不明の奇病を患った兄は激痛に耐えかね、病院の窓から飛び降りて死んだ。
兄の症状に納得がいかない妹の笹岡玲央(ささおかれお)は看護師から、
義姉(あね)の真奈美が兄の腫れた足に巨大な蜘蛛を乗せていたと聞く。
美しく聡明で献身的な義姉の「本当の顔」とは?
玲央の幼なじみの天才毒物研究者・利根川由紀(とねがわゆき)が調査に乗り出す!

担当者コメント

嵐の夜の病院で起きるアクシデントを描く冒頭の緊迫感で、一気に物語に惹きつけられます。兄の死の真相を探る妹というメインストーリーがしっかりしているので、読み進めやすいのも美点です。そして何と言っても、妹の探索行をサポートする天才毒物研究者・利根川由紀のキャラクターが立っています。天才ゆえのズケズケした話し方、奔放な行動力(特に犯人を追い詰めるため彼女が取る選択には驚かされます)だけでも面白いのですが、幼なじみにふと見せる気遣いなど柔らかい部分も魅力的です。タイトルからおわかりのように、この物語の基盤になっているのは「親と子の愛憎」なのですが、下手に書くと感傷過多なベタベタした話に陥ってしまいます。ですが、全編にきりっとした文章が貫かれているため、その事態を見事に回避し、ラストシーンの余韻が深まります。
この「物語を引き締め、コントロールできる」点こそ、実力派の証。福ミスからまた期待大の才能が誕生しました!! ぜひ、ご一読を!