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講談社ノベルス

『QED ~flumen~月夜見』

『QED ~flumen~月夜見』高田崇史

『QED ~flumen~月夜見』
著者:高田崇史
定価:本体900円(税別)

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京都・月読神社で女性の絞殺死体が発見される。翌朝、近隣の松尾大社では女性の兄の死体が鳥居に吊される。事件を取材する小松崎良平は、桑原崇と棚旗奈々が一泊旅行で京都にいると知り、強引に合流する。記紀最大の謎とされる月読命の真の姿とは?渡来人技術集団・秦氏の悲劇とは? 崇の推理が冴えわたる待望のQED新作。

京都・月読神社で女性の絞殺死体が発見される。翌朝、近隣の松尾大社では女性の兄の死体が鳥居に吊される。事件を取材する小松崎良平は、桑原崇と棚旗奈々が一泊旅行で京都にいると知り、強引に合流する。記紀最大の謎とされる月読命の真の姿とは?渡来人技術集団・秦氏の悲劇とは? 崇の推理が冴えわたる待望のQED新作。

QED~flumen~月夜見 高田崇史さん スペシャル・インタビュー

──QEDシリーズには、「QED」「flumen」「ventus」とありますが、まずは、違いを教えてください。また、番外編を書こう、と思い立ったきっかけは?

高田:「QED」シリーズを書いている中で、通常よりもう少し枚数も少なく手軽に読めて、本を片手に登場した神社仏閣や史蹟を回っていただけたらと考えて、細かい地図も添付して「ventus」(ラテン語で「風」)を書きました。しかし結局、いつも崇の話が長くなり、面倒臭さは本編の「QED」と大差なくなってしまいました(笑)。
しかも、素直に小説の通りに回ったら、余りのハードスケジュールに死にそうになったというご意見もいただき、決して正直に真似しないようにという注意書きまで必要になりましたが、途中から作者も開き直って(?)書き続けました。
一方「flumen」(ラテン語で「流れ」)は「QED」でもなく、かといって「ventus」にも属さない小説で、「時の流れ」を念頭に置いて書きました。

──では、flumen 各巻の著者解説をお願い致します!

『QED~flumen~九段坂の春』 

これは目次、あるいは本文を見ていただいての通り、桑原崇、棚旗奈々、小松崎良平、そして御名形史紋たちの初恋(らしきもの)を「縁」をテーマに書いてみました。ノベルス版のカバー袖に引用させていただいています、リルケの詩の通り「まだいずことも ゆくえさだめぬ旅路の春」という話です。この作品に関しての詳細は文庫版『QED~flumen~九段坂の春』巻末の田端しづかさんによる解説(迷怪インタビュー?)をお読みいただければと思っています。

『QED~flumen~出雲大遷宮』

この作品の舞台は、本編の「伊勢」の事件から8年後の平成20年(2008)になります。そのため、小松崎良平の子供の名前まで出てきます。しかし、そこにはさまざまな紆余曲折があったようです。また、作品の内容に関しての詳細は、以下の『QED~flumen~ホームズの真実』に収録されております「QEDパーフェクトガイドブック」を、ぜひご参照ください。

『QED~flumen~ホームズの真実』

この事件よりも10年近く前に起こった『QED ベイカー街の問題』で崇が披露したホームズに関しての説を、ロンドンから帰国した緑川友紀子が覆します。本場イギリスの「ベイカー・ストリート・イレギュラーズ」会員である、Dr.田中喜芳さんに、とても喜んでいただけて何度もお目にかかり、ホームズの話で盛り上がった作品です。そして、ホームズといえば「ヴァイオレット」ということで『九段坂の春』でも少しだけ触れました「紫」の話などを中心に置きました。それに伴い『源氏物語』に関して、外嶋一郎が(少々)突っ込んでいます。

『QED~flumen~月夜見』

3年2ヵ月ぶりの『QED~flumen~』上梓となりました。
今回の舞台は平成12年(2000)で「伊勢」の事件から半年弱後、ということになります。ただ、本編の「QED」はご存じの通り「伊勢」で完結していますので「flumen」で「時の流れのままに」という形になりました。
というより、正直に告白してしまいますと、もう『QED』に手を染めることはないだろうと思っていたのですが、『源氏物語』を読んでいた際に、突然ふと一つの疑問が湧き上がったのです。
何故、平安貴族たちは「月は不吉」「忌むべきもの」などと、誰もが書き残しているのだろうか?その理由を調べてみても、文献には「神々しすぎるものは、不吉として忌まれていた」という程度しか書かれていません。しかしこの説明は、他にいくつも存在している「神々しい」物の例を挙げるまでもなく、明らかにおかしくはないか。となるとこれは、天照大神や素戔嗚尊と共に「三貴子──みはしらのうずのみこ」として「記紀」に登場する「月読命」が、深く関係しているのではないか……。
そんなことを考えていくと「三貴子」の中でも、特に不明な点が多いとされている「月読命」に関して、厚く覆い隠されていた謎が見えてきました。
そして同時に、これらの話は桑原崇にしか説明できないかも知れない……と感じたので、懲りずにまた、小松崎良平たちと共に登場してもらいました。
果たして崇は「月読命」や「月」に関する謎を、きちんと解き明かせたでしょうか。そして、担当編集長をして「可哀想すぎる(笑)」と言わしめた棚旗奈々の運命はどうなるか……。
などなど、久しぶりの「QED」を楽しんでいただければ、著者としてこれに勝る喜びはありません。

──今後のご予定を教えてください。

高田:「小説新潮」で連載していた『鬼門の将軍』が、平成29年(2017)2月下旬に単行本で刊行される予定です。誰に関しての話なのかは、題名をお読みください(笑)。そしておそらく、ちょうどその頃に(もしくは桜の花の咲く頃に)「神の時空」シリーズの最終巻を上梓できればと思っています。陽一や摩季を始めとする「彼ら」は一体どうなってしまうのでしょうか。作者も、ドキドキです。また、何故か講談社の児童部署からもお話をいただいているので、そちらもどんどん書き進める準備をしている最中です。こちらも、ぜひお楽しみにお待ちください。

──最後に読者の方へ、一言お願い致します!

高田:今回も思わぬ所で疑問が湧き上がり、しかも当初の予測とは微妙に違う地点に着地するという結末になりました。でもこうしてみると、日本の歴史には、まだまだたくさんの秘密が隠されていて、まるで暗号で綴られているかのような文献も、公に多く残っています。
ぜひみなさんご自身でも、そんな(リアル本格ミステリ的な)謎に、チャレンジしていただければと思っています。歴史は覚えるものではなく、考えるものだと強く感じていますので。

高田崇史
PROFILE
高田崇史(たかだ・たかふみ)

昭和33年東京都生まれ。明治薬科大学卒。『QED百人一首の呪』(講談社ノベルス)で、第9回メフィスト賞を受賞しデビュー。著作に「QED」シリーズ、「カンナ」シリーズ、「鬼神伝」シリーズ(2011年アニメ映画化)、『軍神の血脈 楠木正成秘伝』などがある。

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QED~flumen~月夜見 京都市西部MAP
京都市西部MAP
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QED~flumen~月夜見 担当者コメント

根強く熱いファンに支えられる、講談社ノベルス屈指の人気シリーズ、「QED」。
前作『QED 伊勢の曙光』から3年2ヵ月──、なんと、タタルこと桑原崇と棚旗奈々ちゃんが帰ってきました!! 『QED 百人一首の呪』という伝説的作品から始まったこのシリーズは、薬剤師の崇と、大学の後輩である奈々ちゃんが事件に巻き込まれながらも、これまで誰も思いつかなかった日本史の裏側に深く切り込んでゆきます。そしてファンの皆さまなら気になるであろう崇と奈々ちゃんの関係は、ようやくちょっとはどうにかなるのでしょうか……? これまでQEDを読んだことのなかった方々にも、このflumenと名付けられたラインは絶好の“高田崇史入門書”になります。

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既刊リスト
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『古事記異聞 京の怨霊、元出雲』高田崇史 『またね家族』松居大悟 『修羅の家』我孫子武丸 『#柚莉愛とかくれんぼ』真下みこと 『希望と殺意はレールに乗って アメかぶ探偵の事件簿』山本巧次 高田崇史ONLINE