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『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』

『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』井上真偽
『聖女の毒杯
 その可能性はすでに考えた』

著者:井上真偽
定価:本体960円(税別)
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聖女伝説が伝わる地方で結婚式中に発生した、毒殺事件。
それは、同じ盃(さかずき)を回し飲みした八人のうち三人(+犬)だけが殺害されるという不可解なものだった。参列した中国人美女のフーリンと、才気煥発(かんぱつ)な少年探偵・八ツ星(やつほし)は事件の捜査に乗り出す。
数多(あまた)の推理と論理的否定の果て、突然、真犯人の名乗りが!?
青髪の探偵・上苙(うえおろ)は、進化した「奇蹟の実在」を証明できるのか?

聖女伝説が伝わる地方で結婚式中に発生した、毒殺事件。
それは、同じ盃(さかずき)を回し飲みした八人のうち三人(+犬)だけが殺害されるという不可解なものだった。参列した中国人美女のフーリンと、才気煥発(かんぱつ)な少年探偵・八ツ星(やつほし)は事件の捜査に乗り出す。
数多(あまた)の推理と論理的否定の果て、突然、真犯人の名乗りが!?
青髪の探偵・上苙(うえおろ)は、進化した「奇蹟の実在」を証明できるのか?

どうも皆様、著者も出せるとは思っていなかった幻の続編、何とか幻にせずにお届けすることができました。これも偏(ひとえ)に前作を応援してくださった皆様のおかげです。改めて深謝いたします!

今作では前作で特に人気の高かった(と筆者が勝手に思っている)キャラクターを再登場させて思う存分暴れてもらいました。フーリンに踵で踏まれたい方々、リーシーに冷たい目で嘲られたい方々、八ツ星の子供と大人のギャップにやられたい方々、今作でも彼/彼女らが十二分に活躍しますのでどうぞご期待ください!(あれ、主役【ウエオロ】は……?)

今作もミステリ的なテーマは変わらず「否定」です。ガジェットは「毒」。毒の聖女伝説が伝わる里での婚礼の場で、奇妙な形の毒殺事件が発生します。容疑者は複数。はたしてウエオロはその全ての犯行可能性を否定し、見事念願の奇蹟を証明できるのか──

今作では前作で書き切れなかった要素を色々盛り込んでいます。なのである意味前作を補完するものと言えるかもしれません。誰が見ても無謀で不毛な探究に挑み続ける探偵、その行く末に救いはあるのか──探偵版ドン・キホーテの狂騒の物語を、ぜひご堪能ください!

PROFILE

井上真偽 (いのうえ まぎ)
東京大学卒業。神奈川県出身。『恋と禁忌の述語論理』で第51回メフィスト賞を受賞。二作目の『その可能性はすでに考えた』が、第16回本格ミステリ大賞の候補作に選ばれ、主要なミステリ小説ランキングのほぼすべてにランクインし、注目を集める。本作はその続編となる。

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担当コメント

お待たせしました! 昨年度のミステリ界の話題をさらった、『その可能性はすでに考えた』に待望の続編が登場です。前作よりパワーアップした、「奇蹟の証明」に、青髪の探偵・上苙が挑みます。犯人不在の「飛び石毒殺殺人」の真相は!? 繰り返される推理と否定の向こう側に見える、驚愕の真相とは!? 本格ミステリの極点、読み逃すわけにはいかない一作です!
ちなみに、このシリーズ、本当に執筆が大変です! 著者の井上さんの頭脳が疲弊するのが先か、上苙が奇蹟を諦めるのが先か、このシリーズのさらなる続編が刊行される、その可能性を作るのは、読者の皆さんの声援です! 応援どうかよろしくお願いいたします。

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登場人物紹介

<主要登場人物>
上苙 丞(うえおろ じょう)……奇蹟の実在を証明しようとする青髪の探偵
姚 扶琳(ヤオ フーリン)……元中国黒社会の幹部。上苙に多額の金を貸している中国人美女
八ツ星 聯(やつほし れん)……上苙の元弟子。頭脳明晰な少年探偵
宋 儷西(ソン リーシー)……フーリンのかつての仕事仲間
カヴァリエーレ枢機卿(すうききょう)……バチカンで奇蹟認定を行う列聖省の審査委員

<事件の関係者>
和田瀬那(わだ せな)……俵屋家に嫁ぐ花嫁
和田一平(いっぺい)……花嫁の父
和田時子(ときこ)……花嫁の伯母

俵屋広翔(たわらや ひろと)……花婿
俵屋正造(しょうぞう)……花婿の父
俵屋紀紗子(きさこ)……花婿の母
俵屋愛美珂(あみか)……花婿の上妹
俵屋絹亜(きぬあ)……花婿の下妹
山崎双葉(やまざき ふたば)……花嫁の付き添い・御酌役
室伏珠代(むろふし たまよ)……俵屋家の家政婦
橘 翠生(たちばな すいせい)……愛美珂たちの従兄弟

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HP限定 書き下ろしショート・ショート
~上苙&フーリンの作品紹介コーナー(あるいは冷血と情愛の間)~

フ:ヤオフーリン。おちゃめな中国人金貸し。
上:ウエオロジョウ。ヒモ探偵。
リ:ソンリーシー。暗黒組織の中間管理職。フーリン大好きっ子。

ヤオフーリン。おちゃめな中国人金貸し。

ウエオロジョウ。ヒモ探偵。

ソンリーシー。暗黒組織の中間管理職。フーリン大好きっ子。

──南阿佐ケ谷、某テナントビルの某探偵事務所内。

「…………」

「やあフーリン。どうした怖い顔をして」

「おい穀潰し。なに昼間っから、仕事場で暢気に堂々酒をかっくらってるね」

「ああこれか? 祝いだ、祝い。フーリン、君も飲め飲め」

「祝い? 何の?」

「決まってるだろう──続編刊行の」

「続編?」

「ん? 君は知らなかったのか? 僕たちの前の活躍が本になり、それが思いの外好評を得たので世間のご厚情で続編を出せる次第と相成ったのだ。応援してくれる読者というのは本当に有り難いな」

「? 何を言ってるのかさっぱりね」

「君のメタレベルはどのくらいにあるんだ?」

「レアメタル? そんなことよりロクデナシ、お前に一つ質問があるね。最近お前の元弟子が、私のことをよく『ツンデレ』と表現するね。いったいどういう意味ね?」

「聯が君にそんなことを……あいつも命知らずな。ええとだな、それはつまり──『ふだんの態度は冷たいけど本当は相手に好意を持っている』といった意味だ。確か中国語だと、"傲嬌【アオジャオ】"とか"外冷内熱【ワィランネイルゥア】"とか……」

「ああ、傲嬌……何となく聞いたことあるね。つまりこういうことか。たとえば仮にウエオロ、私がお前をのっぴきならない事情で惨殺したとする。その十年後くらいに、お前の墓の前で『すまない、ウエオロ。お前のこと、それほど嫌いじゃなかったね……』とか呟く感じか」

「あ、ああ、そういう……。いや、やっぱり違うかな……」

「違うのか?」

「そう……だな……。それだと僕を、殺してしまってるから……」

「殺しては駄目なのか?」

「殺しては駄目だな」

「ならもうよくわからないね」

「そ、そうか……。いや、すまない。別にわからなくてもいいんだ。僕が聯にちゃんと教育しておかなかったのが悪かった。ごめん……」

「なぜ謝る? 第一謝るくらいなら慰謝料を払うね。誠意は金で示すね」

「君はまたすぐそうやって金に換算する──

「老仏爺【ラオフォイエ】! やはりこちらにおられましたか。しかしなぜ昨晩は寝室に戻らずに? このリーシー、朝日を拝むまで床【とこ】にて待ちぼうけをくらいましたが──

「やめろね。絡みつくなね。本当に鬱陶しい女ね。私が寝室に戻れない元凶が寝言をほざくなね」

「……左様でございますか。つまり老仏爺は、やはりこのリーシーが邪魔だと。蛇蝎【だかつ】の如く毛嫌いされていると。ならばこのリーシーに今生に執着する理由はもはやございませぬ。どうかそのお手の煙管【キセル】をお貸し下さいませ。その先端に仕込んだ刃でわが喉を──

「馬鹿か。私の愛用の煙管を誰がそんな汚れ仕事に使わせるか。それに別に貴様の存在がどうとかいう話でもないね。夏場にシングルベッドでの二人寝が暑苦しいだけね」

「あ、フーリン。それだ。そういう感じ」

おわり

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