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『ベスト本格ミステリ2016』
  • 序
  • 執筆作家プロフィール
  • 担当者コメント
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  • 既刊紹介
『ベスト本格ミステリ2016』本格ミステリ作家クラブ 選・編

『ベスト本格ミステリ2016』
本格ミステリ作家クラブ 選・編
定価:本体1,380円(税別)
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小説
まちがえられなかった男 西澤保彦
新陰流“水月” 高井忍
G坂の殺人事件 三津田信三 
不透明なロックグラスの問題 松尾由美
サイバー空間はミステリを殺す 一田和樹
秋は刺殺夕日のさして血の端はいと近うなりたるに 深水黎一郎
炎 大山誠一郎
監獄舎の殺人 伊吹亜門
にらみ 長岡弘樹

評論
江戸川乱歩と新たな猟奇的エンターテインメント 蔓葉信博

小説
まちがえられなかった男 西澤保彦
新陰流“水月” 高井忍
G坂の殺人事件 三津田信三 
不透明なロックグラスの問題 松尾由美
サイバー空間はミステリを殺す 一田和樹
秋は刺殺夕日のさして血の端はいと近うなりたるに 深水黎一郎
炎 大山誠一郎
監獄舎の殺人 伊吹亜門
にらみ 長岡弘樹

評論
江戸川乱歩と新たな猟奇的エンターテインメント 蔓葉信博

序

 2015年7月、本格ミステリ作家クラブの公式サイトに【English】ページが新設されました(http://www.honkaku.com/english.html)。日本の本格ミステリの魅力を世界へ発信するためです。私はクラブを代表して、海外読者に「本格/Honkakuとは何か?」を伝える英文のメッセージを寄せたのですが、その元になる文章をこんなふうに締めくくりました。
《「綾辻以後」の本格シーンでは、ホラーやファンタジー、SFやメタフィクションといった隣接ジャンルとのハイブリッド化が進みました。ジャンルの領域は日々拡大し、コージーミステリの日本版に当たる「日常の謎派」や、信頼できない語り手の技法を高度に洗練した「叙述トリック派」、さらに「謎とは何か?」「探偵とは何か?」「解決とは何か?」といったラディカルな問いを掘り下げていく前衛的な作風まで、さまざまなタイプの作品が生み出されています。その勢いは衰えることを知らず、映画やTVドラマ、コミックやアニメ、ゲームの世界でも、本格は人気コンテンツのひとつとなっています。
 21世紀の本格ミステリは過去を懐かしむための骨董品ではなく、ダイナミックな生成変化を続ける現在進行形のジャンルです。今、この場でその輪郭を明示することは容易ではありませんが、むしろそうした多様性の中にこそ、ジャンルを不滅たらしめる魂が宿っているというべきでしょう。「本格」という日本語には、こうした多様性を許容し、作品に新たなリアリティを吹きこむ歴史的文脈が蓄積されているのです》(日本語原文、HPには未掲載)
 海外向けのメッセージなのでずいぶん乱暴なところもありますが、後半の段落に関しては、日頃から考えていることを真摯に言葉にしたつもりです。使い回しの文章をここに掲げた理由は、いうまでもありません。本格ミステリ作家クラブ選・編の年刊アンソロジーは、先人たちの輝かしい業績を踏まえ、さまざまな可能性に開かれた「本格ミステリの現在」の最新スナップショットだからです。厳選されたベスト短編のひとつひとつが、「ダイナミックな生成変化を続ける現在進行形のジャンル」の多様性と書き手の層の厚さを裏づけているといってもいいでしょう。
 願わくは、本書を通じてより多くの読者が「本格」に宿る不滅の魂に触れんことを。

2016年4月
本格ミステリ作家クラブ会長 法月綸太郎

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執筆作家プロフィール
西澤保彦(にしざわ・やすひこ)

1960年高知県生まれ。米エカード大学卒。高知大学助手などを経て1995年『解体諸因』でデビュー。時間のループに囚われる『七回死んだ男』など特殊な設定を活かした作品や、青春ミステリの「タック&タカチ」シリーズなどを発表。近年は「腕貫探偵」シリーズ、「ぬいぐるみ警部」シリーズなどに力を入れている。近著に『帰ってきた腕貫探偵』。

高井忍(たかい・しのぶ)

1975年京都府生まれ。立命館大学卒。在学中は推理小説研究会に所属。2005年「漂流巌流島」で第2回ミステリーズ!新人賞を受賞。2008年、同作収録の『漂流巌流島』で単行本デビュー。歴史上の事件を題材にしたミステリを得意とする。著書に『柳生十兵衛秘剣考』、『柳生十兵衛秘剣考 水月之抄』、『本能寺遊戯(ゲーム)』、『蜃気楼の王国』など。

三津田信三(みつだ・しんぞう)

奈良県生まれ。編集者を経て2001年『ホラー作家の棲む家』(文庫化で『忌館 ホラー作家の棲む家』に改題)でデビュー。『厭魅の如き憑くもの』など、本格ミステリとホラーを融合させた「刀城言耶シリーズ」で注目を集める。2010年、その第6作『水魑の如き沈むもの』で第10回本格ミステリ大賞を受賞。近著に『十二の贄 死相学探偵5』。

松尾由美(まつお・ゆみ)

1960年石川県生まれ。お茶の水女子大学卒。在学中はSF研究会に所属。1989年『異次元カフェテラス』でデビュー。1991年に「バルーン・タウンの殺人」で第17回ハヤカワ・SFコンテスト入選。主にSF、ミステリを執筆し、作品に「安楽椅子探偵アーチ―」シリーズ、「ハートブレイク・レストラン」シリーズなど。

一田和樹(いちだ・かずき)

コンサルタント会社社長、プロバイダ役員などを歴任後、サイバーセキュリティ情報サービスを始め2006年に退任。2010年「檻の中の少女」で第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞しデビュー。同作を第1作とする君島悟シリーズをはじめ主にサイバーミステリを執筆。作品に『絶望トレジャー』など。共著に『サイバーミステリ宣言!』。

深水黎一郎(ふかみ・れいいちろう)

1963年山形県生まれ。慶應義塾大学大学院後期博士課程単位取得退学(仏文学専攻)。2007年『ウルチモ・トルッコ』(後に『最後のトリック』と改題)で第36回メフィスト賞を受賞しデビュー。「人間の尊厳と八〇〇メートル」で第64回日本推理作家協会賞短編部門受賞。主な作品に『花窗玻璃』、『ミステリー・アリーナ』など。近著に『倒叙の四季』。

大山誠一郎(おおやま・せいいちろう)

1971年埼玉県生まれ。京都大学在学中は推理小説研究会に所属。海外ミステリの翻訳を手がける一方、2002年「彼女がペイシェンスを殺すはずがない」をe-NOVELSに発表。2004年の『アルファベット・パズラーズ』が初の単行本。2013年、密室づくしの連作短編集『密室蒐集家』で第13回本格ミステリ大賞を受賞した。他の著書に『赤い博物館』など。

伊吹亜門(いぶき・あもん)

1991年愛知県生まれ。同志社大学卒。在学中はミステリ研究会に所属。2015年「監獄舎の殺人」で第12回ミステリーズ!新人賞を受賞。同短編単独で電子書籍化された。明治時代の獄舎で起きた毒殺事件を扱った同作は、新保博久・法月綸太郎・米澤穂信の3選考委員全員から評価された。次作の発表が待たれる。

長岡弘樹(ながおか・ひろき)

1969年山形県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒。2003年「真夏の車輪」で第25回小説推理新人賞を受賞。単行本デビューは2005年の『陽だまりの偽り』。2008年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2014年に『教場』で第14回本格ミステリ大賞候補、2015年『波形の声』で第17回大藪春彦賞候補になる。近著に『教場2』。

蔓葉信博(つるば・のぶひろ)

1975年東京都生まれ。東洋大学卒。在学中はSF研究会に所属。ウェブでの評論活動を経て2003年より商業媒体での執筆を開始。「ユリイカ」、「ジャーロ」などにミステリ評論を寄稿。批評家集団である限界研、探偵小説研究会に所属し、共著に『21世紀探偵小説』、『ポストヒューマニティーズ』、『ビジュアル・コミュニケーション』など。

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担当者コメント

 2015年ベストミステリは何ですか――? 思いつかないあなたに朗報です。本格ミステリの専門家たちが選んだ傑作アンソロジー、『ベスト本格ミステリ』が今年も登場! ルーキーからベテランまで、ミステリシーンを代表する才能たちが結集したぜいたくな1冊です。もちろん、全作傑作の保証済み。この1冊で2015年の本格ミステリのすべてがわかる! 会長・法月綸太郎氏による序文や、廣澤吉泰氏による解説もお見逃しなく。

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ベスト本格ミステリ2016試し読み
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既刊紹介
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『古事記異聞 京の怨霊、元出雲』高田崇史 『またね家族』松居大悟 『修羅の家』我孫子武丸 『#柚莉愛とかくれんぼ』真下みこと 『希望と殺意はレールに乗って アメかぶ探偵の事件簿』山本巧次 高田崇史ONLINE