著者:近本洋一
発売年月日:2015/12/16単行本
定価:本体1,600円(税別)
嵯峨野の高級リゾート「嵯峨野倶楽部」に併設された芝居小屋・嵯峨大黒座。
古浄瑠璃『阿弥陀胸割』を上演中、舞台上に現れた美しくも禍々しい死体。
そこで主役の主遣いをつとめる若手国際派俳優・酒井純哉は、華やかで才能に溢れた経歴を持ちながら、何故かいつも死の影を感じさせるのだった。閉ざされた空間で浮き彫りにされる人々の内と外。元外科医で「東雲流」五代目、人形遣いの東雲蔵一が見極める事件の本質とは。
人形浄瑠璃を題材に新鋭が描く彷徨する魂たちの物語。
担当者コメント
『愛の徴―天国の方角―』で第48回メフィスト賞を受賞した近本洋一氏、デビュー後第1作です。前作が17世紀フランスと近未来の沖縄を舞台にした壮大な物語であったのに対し、新作は京都嵯峨野を舞台にした静の物語です。表面は静かですが、心の振り幅は大きく、表と裏、虚と実が万華鏡のように展開していきます。古浄瑠璃『阿弥陀胸割』を題材に魅力的なキャラクターが織りなす物語をご堪能ください。