目まぐるしく駆け抜けたバブルという時代。あの狂乱の時代を経験した者たちは、巨大な泡が弾けたあとどのように生き、今何を思っているのか――
『幸腹な百貨店』は、そんなバブルの申し子が、バブルなんて教科書でしか知らない若者たちとともにすったもんだする物語です。
彼らとは価値観が違う、わかり合えるはずがない、と思い込み、極力関わらないようにしていた主人公、高橋伝治が、偶然目にしたポスターに興味を引かれ、それを作った人間に会いに行ったことから、若者たちとの交流が始まります。
今時の若者の考え方に眉を顰めたり、目を開かれたりしながら、伝治はかつて勤めた百貨店の経営不振を打開する方法を探っていきます。結果なんてなかなか出ません。けれど、伝治は、小さくてもいい、遠くてもいい、どこかに灯りが見えないものかと探し続けます。
百貨店の売り場だけに留まらず、レストラン、喫茶店、団子屋、小料理屋、果ては社員食堂といった場で大いに呑み食いし、意見を交わしながら対策を練る伝治たち。彼らは一丸となることができるのか、それによって生まれるものはあるのか。
バブル世代と非バブル世代による奮闘記。ちょっと読んでみたいな、と思っていただけると幸いです。
秋川滝美(あきかわ・たきみ)
2012年4月よりオンラインにて作品公開開始。2012年10月、『いい加減な夜食』にて出版デビュー。著書に『ありふれたチョコレート』『居酒屋ぼったくり』『放課後の厨房男子』がある。
大切なのは「人の力」。一生懸命はカッコいい!
――三省堂書店営業企画室 内田剛さん
空腹感わき立つグルメシーンに、読後は満腹と感動が待っていました。
――山下書店南行徳店 古沢覚さん
同じ店員として見習わなければと、心が熱くなりました!
――書泉ブックタワー 江連聡美さん
現状に諦めかけていた人たちが、少しずつ目を輝かせる姿に、背中を押されました。
――紀伊國屋書店横浜みなとみらい店 安田有希さん
魅力的な登場人物の多い、読めば読むほど元気になるお仕事小説!
――MARUZEN名古屋本店 竹腰香里さん
やる気の出るエンターテインメント小説。
お腹いっぱいになる『幸腹な百貨店』をぜひともご賞味ください。
――大杉書店市川駅前本店 鈴木康之さん
バラバラの方向を向いていたみんなが同じ方向に向かって進むエネルギッシュさがあれば、
景気も上向くに違いない。
――芳林堂書店高田馬場店 飯田和之さん
オンライン「小説家になろう」で公開されるや大評判となりたちまち単行本化され、シリーズ4作で28万部を突破した『居酒屋ぼったくり』。著者の秋川さんが新作の舞台にしたのは地方のデパート。主人公の伝治は、店長を務めた堀内百貨店に、再び関わることになりますが、今時の店員たちの言動に驚くばかり。「気合い」「バブル」「グルメ」となるとまさに前時代の遺物のようですが、若い人たちは「おいしい」経験がないだけかもしれません。バブル時代に青春を過ごした方はもちろん、バブルって何? という若い方々にぜひ読んでほしい作品です。きっと自分の「熱さ」が刺激されることでしょう。もちろん料理シーンは思わず唾を飲んでしまうほど。何粒もおいしい作品をぜひともご賞味ください!