パリで死んだ従妹の遺品整理などのため渡航した清美。従妹の死は、本当に自殺だったのか? 乱れた生活を知るほどに疑惑は深まっていく。
「パリ症候群(シンドローム)」
フランスの海辺の避暑地・クロトワで起きた資産家殺害事件。年の離れた夫人に殺人の嫌疑がかけられた。
「砂の住人1──クロテロワ──」
恋人との新生活のため大金を必要とするミッシェルは、バーで出会った男の怪しげな計画に加担することにする。
「砂の住人2──依頼人──」
オランジュリー美術館でテロ騒動に巻き込まれたもも子。そこで出会ったカップルのアリバイを証明することになり……。
「すべては二人のために」
娘の死を受け入れられない母親は、娘は生きていると主張し墓を掘り起こした。土葬にされた棺を掘り返すと、そこに死体はなかった。
「青い絹の人形」
担当者コメント
岸田るり子さんらしい、切れ味の良い結末が用意された作品5編収録された短篇集です。
推理作家協会賞短篇部門の候補にもなった「青い絹の人形」の真相は、衝撃的です。鮮やかなお手並みに驚いていただきたいと思います。
表題作「パリ症候群(シンドローム)」には、認めたくないけれど、自分の中にもある負の感情やずるさが描かれていて、ドキリとさせられます。
そしてどの作品にもある食事シーンの料理のおいしそうなこと。なじみのない料理でありながら心惹かれる食卓です。フランスが舞台であることだけでなく、食卓からも旅気分を感じていただけるのではないかと思います。