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『池魚の殃 鬼籍通覧』椹野道流(ふしの・みちる)|講談社ノベルス

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『池魚の殃 鬼籍通覧』椹野道流(ふしの・みちる) 死者は語る。身体に刻んだ痕跡で―。リアルな医学知識で描く、法医学教室ミステリー

『池魚の殃 鬼籍通覧』

『池魚の殃 鬼籍通覧』
著者:椹野道流(ふしの・みちる)
カバー装画:ヤマシタトモコ
定価:本体 840円(税別)

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法医学教室に在籍する大学院生・伊月崇(いづきたかし)と担当教官の伏野(ふしの)ミチルは、何者かによって拉致され光一筋ささぬ真っ暗な空間に監禁された。手探りで脱出経路を求める二人は、ミイラ化した人間の右腕を発見する……。拉致監禁の目的は? 残されたミイラの意味は?リアルな医学知識で描く、法医学教室ミステリー!
著者コメント

 久しぶりに、帰って参りました!
 まさか五年ものご無沙汰になってしまうとは思わず、待っていてくださった方々にも、それでも書く機会を与え続けてくださった編集部の方々にも、ありきたりな感謝の言葉では足りなくて、どうしようと狼狽えるばかりです。
 そもそも私が鬼籍通覧を書き始めたとき、当時の部長であった故宇山秀雄さんからいただいた教えは、「何を書いてもいい、必ずエンターテインメントであれ」という一言だけでした。
 それがずっと胸にあったためか、あまりにも世間で陰惨な事件、大きな災害や事故が続いた日々の中、ふと、人の死を扱うシリーズにおけるエンターテインメントの有り様について悩み始めてしまい、吹っ切れるまでにこんなに時間がかかってしまいました。
 どんな風に吹っ切れたかは、言葉で説明するのがとても難しいです。
 たぶん、本作『池魚の殃』を読んでいただければ、何となく伝わるのではないかと。
 日々、人の死に触れ、他人の死に様のことばかり考え、人の死に傷つき、それでもがむしゃらに前を向いて生きている伊月やミチルたちの奮闘から何かを感じとっていただけたら、それに勝る幸せはありません。

 今回、ヤマシタトモコさんに素敵な表紙イラストをつけていただいたこともあり、「鬼籍通覧Reboot!」という心持ちで新作を書きました。
キャラクターたちは相変わらずですが、あとがきに書いたような若干のシステム上の変更点があり、少しばかり戸惑わせてしまうかもしれません。
でもご安心ください。いつものあのキャラクターたちがお待ちしています。
一方で、興味はあるけれど第一作から読むのはちょっと、と躊躇っている方にも、本作からでもちゃんと楽しんでいただけるよう、心がけました。
よって、お待たせしましたの方にも、はじめましての方にも、改めて「鬼籍通覧」、
どうぞよろしくお願い致します!

プロフィール 椹野道流(ふしの・みちる)
2月25日 生まれ。四緑木星・魚座のO型。
兵庫県出身。元監察医。
現在は、某専門学校で解剖学と法医学を教えている。
こしあんと唐揚げと猫とイモリをこよなく愛す。
「奇談シリーズ」(講談社X文庫ホワイトハート)のほか、「メス花シリーズ」(シャレード文庫)、「ローウェル骨董店の事件簿シリーズ」(角川書店)など著作多数。

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担当者コメント

 生まれてきたら、いつか死ぬ。たったひとつ決まっていることです。でも、その形は様々、その経緯もひとくくりには出来ません。O医科大学法医学教室を舞台にしたこの物語の登場人物たちは、多くの死をみてきた人たちです。だからこその葛藤も悩みもあります。それでも眠り、食べ、笑う。そうした姿に私はつよく共感しました。
 現在も解剖学と法医学を教えている椹野道流さんだからこそ書けるリアルな医学知識をベースにした物語です。法医学ミステリーが好きな方々にもおススメします。
 若くてハンサムな大学院生に男前な女性教官、料理上手の刑事さん。のほほんとした教授にバナナ好きの鑑識員と魅力的なキャラクターも揃っています。
 久しぶりの新刊ですが、それだけにこの作品から読んでいただき、お気に召したらシリーズを遡って読んでいただけたらと思う次第です。

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登場人物紹介

伊月 崇(いづき たかし)
O医大法医学教室に所属する大学院生。
おしゃれ好きの細身美男。

伏野(ふしの)ミチル
O医大法医学教室助教。伊月の指導教
官。男前な性格の個性的美人。

筧 兼継(かけい かねつぐ)
大阪府T署の新米刑事。幼なじみの
伊月と同居中。料理上手。

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特別書きおろし 筧君とタカちゃんの大雑把なお料理教室 〜飯作る人々〜

はー、今日はお互い遅うなってしもたな。大急ぎで晩飯作ろか。

今から作る気か? レトルトか何かでいいよ、腹減った。

ご飯はタイマーで炊けとるし、カレーやったらすぐできるて。

カレー? レトルトじゃないカレーがすぐできるってのかよ。

タカちゃんが手伝ってくれたらな。ほな、材料いくで〜。

<材料>(筧と伊月でたっぷり食べるくらい)
牛肉薄切り(切り落としでOKですが、赤身がおすすめ)200gくらい(つまりお好きなだけ)
人参 1本
じゃがいも 大きめ1個
あれば大根 1/4本くらい(太さによりけり)
タマネギ 1個
水 800ml
お好きなカレールー(できたら2種類)
塩、

材料言ってる間にエプロン装着、腕まくり完了……と。で、何すりゃいいの?

フライパンで肉炒めて、軽く塩、胡椒して。油は引かんでええよ。

おっけ。火加減は?

焼き色はつけたほうが美味しゅうなるから、心持ち強めの火加減で。ほんで、その間に、コンロが2口ある家は、鍋に水入れて火にかけとって。1口しかない家は、肉の後でええですよ。

誰に向かって説明してんの、お前。まあいいや、お前は何すんだ?

僕はまず、人参の皮剥いて適当に乱切りにして、大きめの容器に入れてフィルムで蓋して、レンジで3分加熱や。

簡単! 俺はまだ肉炒めてっぞ。

その間に、じゃがいもと大根の皮を剥いて、一口大に切る。切り方は適当。そんで、人参の上にどさっと足して、フィルム掛け直して、また3分加熱。

カレーに大根入れんの!?

牛肉と大根はよう合うで。さっぱり食べられる気がするわ、大根入りのカレー。

へええ。で、肉炒め上がったけど?

出た脂を、キッチンペーパーで吸い取って。胃にもたれへんカレーにしたいからな。ほんで、お湯の鍋にざばーっと入れてしもて。

了解。肉入りま〜す。

その間に僕はタマネギの皮を剥いて、大きめのくし形切り。で、レンジの野菜のてっぺんに重ねて、ラスト、駄目押し1分加熱。加熱が終わったら、肉に続いてお湯の鍋に全部投入や。あ、エノキダケがあったから、これもひと束を半分の長さにして放り込も。

マジ適当! 材料にねえもん入れてるし! けど、これでほとんど調理完成か!

そういうこと。あとは中火で煮立たせてローリエ1枚入れて、野菜が軟らこうなってるんを確認したら、あくをすくって、火を止める。まだちょい固いときは、少し煮込んだって。

え、火をもう止めちまうのか?

ルーを入れるときは、いったん火を止めたほうがダマになれへんねん。ほしたら、できたら2種類のルーをブロックに割って、まあ合わせて半箱分くらい、まずは入れてみよか。で、よう溶かす。僕はこく●ろと、ディ●ーカレーを合わせることが多いな。

グルグル混ぜてっと……あ、もうカレーだな! とろみもついてきた!

足りへんようやったら、ブロック1つずつルーを足して、ちょうどええ味まで調整や。ルーが溶けたら、もっぺん、今度は弱火にかけて、よう混ぜて。だんだんとろみが強うなるから、鍋底が焦げつかんように気をつけてや。

すげえ。マジですぐできた、カレー!

あとは、仕上げの隠し味。好きなもん入れたらええんやけど、僕はウスターソースを小さじに1杯くらいと、あとは……。

げっ、お前、何出してきてんの!?

カルピス。これ原液で大さじ2杯くらい入れると、口当たりが優しゅうなるねん。カルピスがなかったら、チョコレート1かけと牛乳とかでもええし、フルーツ缶詰のシロップとかでもええよ。はちみつとか。何しか、甘みをちょっと足すとええ感じになるわ。

隠し味、色々あんのな。あ、ホントだ。さっきより、角が取れた味がする。

せやろ〜。これで、肉炒めたフライパンを洗って、それで目玉焼きでも作って載っけたら、十分ごちそうやで。味が馴染むまでタカちゃんに鍋混ぜとってもろて、僕は付け合わせにキャベツでも刻もうかな。慣れたら全工程30分かからんとできるんで、是非一度お試しを!

だから、誰に向けて喋ってんのお前。ししゃもか? まあいいや、早く食おうぜ。お代わりあるよな?

あるある。ほな、僕がキャベツ千切りしてる間に、盛りつけてしもて。

よっし。俺が普通盛り、お前が大盛りな!

僕も普通盛りでええて!

★時間をかけてじっくり煮込んだカレーは勿論美味しいですが、時間がないとき、こんなスピーディなカレーもまた、おうちご飯っぽくてよいものです。 どうぞお急ぎのとき、あるいはひとり暮らしを始めたばかりの方のお料理入門メニューとして、是非お試しください。(椹野)

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既刊リスト
「鬼籍通覧」シリーズ

『亡羊の嘆 鬼籍通覧』
『禅定の弓 鬼籍通覧』
『隻手の声 鬼籍通覧』
『壺中の天 鬼籍通覧』
『無明の闇 鬼籍通覧』
『暁天の星 鬼籍通覧』

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『しあわせな死の桜』竹本健治 『禁じられたジュリエット』古野まほろ 『人間じゃない 綾辻行人未収録作品集』綾辻行人 『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』柚月裕子 『恐怖小説 キリカ』澤村伊智 『七月に流れる花』『八月は冷たい城』恩田陸 『QED ~flumen~月夜見』高田崇史  『雨色の仔羊 警視庁捜査一課十一係』麻見和史 『溝猫長屋 祠之怪(どぶねこながや ほこらのかい)』輪渡颯介 『悲衛伝』西尾維新 『悲亡伝』西尾維新 『悲録伝』西尾維新 『悲業伝』西尾維新 『悲報伝』西尾維新 『悲惨伝』西尾維新 『悲痛伝』西尾維新 『悲鳴伝』西尾維新 電子百鬼夜行シリーズ 京極夏彦 高田崇史ONLINE