メフィスト賞に応募したきっかけは?
えらく長いものを書いてしまい、さてこれをどうしよう、と思っていたところ、妻から、メフィスト賞にこそ応募すべし、と勧められたのです。
受賞を知った時、最初に思ったこと。その後、まずしたことは?
泥舟じゃなくて良かった、と。前の回に拙作を推して下さった担当編集〈卯〉氏が「今回、僕はもう大船に乗ってますから」と不思議なことを言って、ひとり大船で船出してしまったので、私は埠頭に置いてけぼりになった気分で、「その大船が泥舟じゃなければいいけど」と心配していたのです。なので、妻に「泥舟じゃなくて良かった!」と言いました。
受賞の知らせを聞いたのはどこ?
何もない空っぽのアパート。自宅が水漏れ工事で、緊急に借りていたのです。
作家を志したきっかけは?
ものを書き始めたのは生きるためですが、作家というのが肩書きなのか職業なのか自意識なのか、まだよくわからないままなのです。早く清く正しく志したいです!
初めて「小説」を書いたのはいつ頃? またどんな作品?
五年前に父親が自殺した男の話を書きました。自分に起きたことを客観的に語るためにはその言葉が「小説」であるべきだと感じて書いた、そのような作品です。
自分で自分にキャッチフレーズをつけるとしたら?
ホンモンのイロモン。
講談社ノベルスで好きな作品をあげるなら?
おそれおおくもその名をあげさせていただくならば『鉄鼠の檻』。
影響を受けた作家、作品は?
五人、五作までとするなら、バーネット『秘密の花園』、大江健三郎『万延元年のフットボール』、リンダ・ハワード『流れ星に祈って』、ジェイムズ・ティプトリーJr.『故郷から10000光年』、C・S・ルイス『ライオンと魔女』。
執筆スタイルは?
ふと気付くとパソコンの前に坐っている、という状態になるのを待つのです。
執筆中かかせないアイテムは?
足を冷やさないためのほかほかカーペット。
執筆中あったエピソードで忘れられないもの。
円形脱毛症を発見。いつできたのかはわかりません。まだ治らない。
受賞作の着想のきっかけは?
ある時、目覚めた妻が「不思議な夢を見たよ」と話をしてくれたのです。それで、その夢の情景の現われる物語を書いて妻に読ませてあげたい、と思いました。
執筆期間はどれくらい?
応募作自体は二ヵ月弱で書きましたが、それを〈卯〉さんと共に半年かけて改稿させて頂きました。〈卯〉さん、本当にありがとうございます。
応募時の「キャッチフレーズ」は?
《愛の真実が心に迫るスリリングな歴史ロマンSF!》でした。まじで? もちろんそりゃまじですよ。なんでそんなこと尋ねるんですか。
次作の構想はありますか?
あります。自信作となる予定です。
読者の方々に一言!
私はものすごくせっかちで、すぐ退屈してしまう性格です。その私が、書いている間ずっと、まるで世界の涯へと航海しているかのように退屈しませんでした。胸の奥で静かに脈打つ鼓動が自分で感じられるような瞬間。この物語で、そんな経験をきっと分かち合えると信じています。