メフィスト賞に応募したきっかけは?
応募の理由は、2つあります。
ひとつは、どんな作でも、編集者の方々のひとことコメントがもらえるから。もうひとつは、募集のスパンが4ヵ月と比較的短いから、です。
これは、ことメフィスト賞に応募する人の動機としては、大多数を占める理由だろうと思います。
受賞を知ったとき、最初に思ったことは? その後、まずしたことは?
まず、「素数でよかった」と思いました(第47回受賞ですから)。
その後は小一時間ほど、近辺をうろうろと歩き回りました。そういうときにいかなる態度をとるべきかが、自分でもよく解らなかったからですが、周囲からすれば、かなりの挙動不審にみえたことでしょう。
小説家を志したきっかけは?
人を楽しませる手段に何があるか、と考えたときに、僕にできるのは「小説を書く」ことだったから、でしょうか。
初めて「小説」を書いたのはいつ頃? またどんな作品?
小学校5年生のときの国語の授業です。
「バスに乗ったら、いつの間にか違う世界にいた」というような、いかにも子供らしくありふれた内容のSFで、確か400字詰め原稿用紙で2枚の作でした。
なお、そこから四半世紀の時間と紆余曲折を経て、初めてきちんとした小説を書くに至り、それがメフィスト賞への応募第一作となりました(一言コメント止まりでしたが)。
講談社ノベルスで好きな作品をあげるなら?
綾辻行人さんの「館シリーズ」、京極夏彦さんの「京極堂シリーズ」、森博嗣さんの「S&Mシリーズ」です。
メフィスト賞受賞者の回答としては、オーソドックスではありますが、王道だとも思っています。
影響を受けた作家、作品は?
まず、綾辻行人さん、京極夏彦さん、森博嗣さんのお三方です。しつこいようですが、オーソドックスであり、だからこその王道である前述の作品群からは、非常に多くの影響を受けました。
怪奇小説家としての江戸川乱歩さんと、サイエンス・エッセイストとしてのアイザック・アシモフさんについても、常に僕のお手本となっていると思います。
ただ、誰よりも影響を受けているのは、実は筒井康隆さんです(熱烈なツツイストなのです)。
執筆スタイルは?
特に決めてはいません。たぶん、極端なフリースタイルです。ツールを問わず、いつでも、どこででも書いている(あるいは、考えている)ような気がします。「思いついたが吉日方式」です(名称は今、思いつきました)。
執筆中かかせないアイテムは?
「辞書」です。言葉を知らないので……。
あと、アイテムと言っていいかどうか解りませんが、「書くための時間があること」は絶対に欠かせません。「書くために必要なアイテム」とは「書くための時間だ」ということです。
受賞作『眼球堂の殺人〜The Book〜』、着想のきっかけは?
『眼球堂の殺人』は、方眼紙を前にいろいろと「変な建物」をいたずら書きしているとき(そういう手いたずらを、僕はよくやります)に、ふと思いついたアイディアが原型となっています。これを、ああでもないこうでもないとこねくり回しながら、最終的な形を作り上げていったというわけです。
また、僕が敬愛する人物に、ポール・エルデシュという実在の天才数学者がいます(1996年に故人となりましたが)。この、エピソードに満ちた素敵でおかしな数学者を、物語の中で生き生きと動かしてみたい、そんな願望もまた、きっかけのひとつとなったといえるかもしれません。
執筆期間はどれくらい?
約2ヵ月です。
着想から筆を置くまでは、図面も含めて1ヵ月ほどですが、きちんとした形にするために、そこからさらに1ヵ月をかけて直さざるを得ませんでした。
自分の力不足を痛感しています。
応募時、作品に添付した梗概に書いた「キャッチフコピー」は何?
「読むのは神か、それとも人か。」です。
トリックのアイディアはどんなシチュエーションで思いつく?
その多くは、悲しいことに、その着想を忘れてしまいやすい状況だとか、書き留めておくことが不可能な状況だとかに思いつきます。
次作の構想はありますか?
あります!
また、変な建築物が舞台になりますので、ぜひともご期待をいただきたく存じます。
読者の方々に一言!
数学と建築とミステリが渾然一体となった、一風変わった推理小説ですが、是非ともお楽しみをいただき、どうか今後とも、周木律をご贔屓にしていただければ幸いです。