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メフィスト賞大特集!|講談社ノベルス

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受賞作品 4月、5月、6月連続刊行! メフィスト賞大特集!

「私にとってのメフィスト賞」 望月守宮 メフィスト賞とは何なのか。その魅力とは。メフィスト賞をもらったことは自分にとってどんな意味があったのか。色々考えてみたんですけど、何一つわかりません。弱ったぞ。とりあえず、過去を振り返ってみます。
初めて読んだメフィスト賞作品は『すべてがFになる』。高三の冬、大学受験の下見へ行った時に購入。いかにも理系なやりとりがすごく新鮮で、「大学ってこんな場所なんだ」と将来への期待で胸をいっぱいにしてました。
ですが、入ってみると大学は思ったほど素敵な場所でなく、正直つまらなかったので、講義中はよく本を読んでました。『ハサミ男』や『フリッカー式』、『『クロック城』殺人事件』、『煙か土か食い物』などなど、私にとっては幸福な読書黄金時代。『クビキリサイクル』が平積みされてるのを何度もチラ見しながら「いかにも売れそうな本だぜ」としばらく敬遠したり、結局ハマったりしたのも良い思い出。メフィスト賞というブランドを気にするようになったのもこの頃。
その後、小説を書くようになり、メフィスト賞への投稿を始めると、大きな影響を受けるのが嫌で、逆にメフィスト賞作品をあまり読まないように。ですが四回投稿してもダメだった時、このままメフィスト賞に投稿を続けるべきか悩みました。そこで最新の受賞作を読んでつまらなかったら、もう投稿をやめようと決め、『ウルチモ・トルッコ』を読んだのですが、面白い。しかたなく最後のつもりで『無貌伝』を投稿したら、なんか受賞できました。
机の上に置いてある小さなホームズ像(メフィスト賞の記念品)を見ていると、今でもたまにメフィスト賞がとにかく欲しかった投稿時代のことを思い出します。あの気持ちを説明するのは難しいんですが、たとえるなら、子供がお祭りの夜にちらっとだけ見かけた素敵なおもちゃのことをずっと忘れられないような、そんな気持ちでした。自分の憧れてきた作家たちと同じ入口に立ちたいというだけではない、何か特別なもの。
メフィスト賞が、これからも長く続きますように。

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