この世界が「ゲーム」の中だと気がつく……普通の小説ならここで終わりだと思いますが、ここからが怒濤の展開でした。ちなみに、この世界の「ゲーム」のジャンルというのは、アレですよね?
アレです。
ちなみに、このゲーム、外の世界にプレイヤーがいるのでしょうか?
さあ……、でももし読者の皆さんが、「自分もゲームのキャラクターに過ぎない」と考えれば、分かるかもしれません。
なるほど。作中で行われるリセットはプレイヤーの意図によるものなのでしょうか……。
「実は黒幕がいる」「すべてはこいつの所為だ」とした方が、まだしも救われると考えるのなら、そうでしょうね。
全体は裕也の視点中心に描かれており、9章から、翔太に切り替わりますが、その意図はどういったものだったのでしょうか?
その人に向かって「貴方は自分をどういう人間だと思います?」と質問しても、客観的な答えは返ってこないでしょう。客観じゃないんですから。なら、その人の友達に「あの人はどういう人間だと思いますか?」と質問した方が、まだしも正確な答えが返って来るのではないでしょうか。
そして、圧巻のラスト。これは所謂「セカイ系」というジャンルへの強烈なアンチテーゼのようにも読み取れます。それが本作のテーマなのでしょうか。
「セカイ系」は、世界に「きみとぼく」だけの世界。つまり、そもそも他人が入る余地がない。最初から排他的な設計なんですよね。でも、当然世界には「ぼく」と「きみ」だけがいる訳じゃない。「ぼく」に物語があるのだとしたら、「ぼく以外」にもあるんじゃないのか? 逆に「ぼく以外」に物語がないのだとしたら、「ぼく」にだって、物語はないんじゃないの?
……と、何故考えない? というのがテーマです。