『書物審問(ランキジシォン)』
赤城毅大好評「書物シリーズ」の第6弾は、稀覯本の宝庫「書物城」が舞台です。城に架かる唯一の橋が爆破され、外部との連絡がとれなくなり……と、まさに“王道”の展開ですが、本が絞首刑の如く吊るされて“殺されていく”など、そこは書物が題材の作品ならではの趣向もたっぷり。「書物城」に秘められた謎をご堪能ください!
『奇面館の殺人』
綾辻行人そんなのアリ!? 事件解明の過程で叫びたくなる。でも、綾辻行人さんはアリなんです。ちゃんと冒頭から伏線を張っている。読み進めるとあとで判ります。探偵・鹿谷(ししや)を呼んだ依頼人は作家なので、名前がペンネームだったのがミソ……おっと、これ以上は言えない。被った仮面が脱げなくなる招待客たち。そして、指が切り取られた首なし死体。固定電話は壊され、携帯の電波が届かない山奥。インターネットのインフラもない。周囲は雪に閉ざされ密室状態。館の設計はこのシリーズでおなじみの建築家・中村青司だ。そそられます。読者を惑わす記述が、見方を変えれば重要な手がかりになり、悪戯心たっぷりです。