衝動で動き出すだろ?動き出す以上、何か結果っつうか、答みたいなもんが欲しくなるだろ?その衝動にも何か意味付けしたくなるっつうか、まさか何にもないなんて思いたくないだろ?でもさ、そのまさかなんだよ。衝動に根拠とか理由とかないから。まったくのゼロからいきなりポンと生まれて人をぐいぐい動かしちゃうのが衝動ってもんだよ。そんなもんで動き続けてもまともな結果にも答えにも辿り着かないし、そもそもの意味も何もないんだ。人を迷わせる悪魔だよ。惑わせてるんじゃない、ドーン!と一発最初に背中を押すだけで実際に迷路にまで引きずり込むのがその衝動って糞だよ
――「美しい馬の地」より
担当者コメント
文芸誌「群像」三月号に掲載された『短篇五芒星』が三度目の芥川賞候補に選ばれました!この作品は、純文学・ホラー・ミステリ、と舞城王太郎が駆けめぐってきたあらゆるジャンルを内包した作品集になっています。舞城ファンなら、読まずにはいられない!舞城作品未読の方は、この疾走感!躍動感!破壊感!に痺れてください。読めばアナタの中に、「衝動」を伴い何かが「生まれる」。今、最も危険な作家、舞城王太郎のすべてがここに詰まっています。