──ついにQEDシリーズ完結!! 13年間、全17巻! どうもお疲れ様でした。まずは、長いシリーズを書き終えた今のお気持ちを教えてください。
そもそも、こんなに書くはめになるとは思っていなかったんです。最初は2作(『百人一首の呪』と『六歌仙の暗号』)の予定で。ところが最初の担当編集者に「高田さん、1冊書ければ7冊書けますよ!」と言われ……。いい感じに騙された(笑)。
──終わってまずされたことは?
いやいや、すぐさま『千葉千波の怪奇日記 化けて出る』の原稿に取り組みまして……。
──えっ。シャンパンを開けた、とかではなく……。
だって……。
そもそも『千葉千波』のシリーズはずっと前に書き終えているはずだったんですからね!!
作家とはそんなものなんですよ?。
──まあまあ。……QEDシリーズの誕生のきっかけについて教えてください。
ある日、夢を見たんですが、凄く面白いので文章にしてみた。それを友人たちに見せてみたら、「これは面白いから、ぜひどこかに応募しろ」と。そうしてできたのが『六歌仙』です。
──ゆ、夢のお告げですか……!?
そう。それで、小説現代の新人賞に応募しようと思ったんだけれど、枚数制限にひっかかる。そこで電話を入れてみたら、小説現代の人に「それはうちだと(枚数が)長い。でも、メフィスト賞という賞がありますよ」と教えてくれて。
ええひとや?。
──高田さんの作品は、なんといっても大胆な歴史解釈に驚かされます。こうした構想はどこからくるのでしょう。
う?ん。そうだな、2000時間くらい、同じことをずっと考える。歴史上のことで、どうしても謎に思うことや、人の関係など。そうすると、神様がここまで真剣に考えているんなら、ってかわいそうに思って教えてくれるんですよ。
──またまた。神様はともかく、それくらい考えていると、見えなかったものが見えてくる、ということですね。
まあ……何の根拠もないんだけどね。降ってくるんです。『百人一首の呪』も『式の密室』の時も「あっ!」と閃いた。
──なるほど。高田さんだからこそ起こる奇跡でしょうか。
ところで執筆活動で一番苦労されるのは?
締め切りです!! あれはなんとかならないですかね?(担当を見る)。
(目をそらす)
──執筆スタイルを教えてください。
朝5時起きで、締め切りが近い時はそのまますぐ原稿に向います。
あ、朝5時! 僕が寝る時間ですね……。
──QED主要登場人物の中で高田さんが個人的に好きなのは?
神山禮子!!
──むう。それでは、高田さんご自身に一番似ているのは?
棚旗奈々!
──……えッ!? (一同沈黙)
そういうことになっているんですっ!
──さて。今回のQED完結編『QED 伊勢の曙光』ですが、締めくくりの舞台が「伊勢神宮」というのはいつ頃から決めていらっしゃったのでしょうか。
5年くらい前、『熊野の残照』を考えていた頃からです。その頃から伊勢神宮にはいろんな疑問を感じていて、いずれ書きたいと思っていたんです。
──では、なんと構想5年!
そうなんです。あんまり言うのもなんだけど……。
──伊勢神宮に行かれた時の感想は。
なんというか、ほかの神社と違って「霊園」のような感じがして。静かというか。というのは、ほかの神社は僕が感じるところの「騒がしさ」があるんですが、伊勢は全く違った。そういう意味で、特別です。
そうそう、僕は時期が悪くて食べられなかったんですが、伊勢に行かれる方、「赤福」のかき氷が美味しいらしいですよ!
──グルメ情報もありがとうございます。
さて、17巻を書ききった今、物語を振り返って、思うことは何かありますか。
色々と照れくさかったり恥ずかしかったりするので、全部書き直したいです。
──最後に、これまでずっと読んできてくださったファンの方たちに、そしてこれからQEDを手に取って読んでくださる読者の方たちに、一言。
とにかくありがとうございました。ひたすら感謝です。
一作入魂で、エジソン曰く「アイディアが出尽くしてしまった時がチャンスだ」という、その言葉を自らに言い聞かせて、ここまで何とかやってきました。なので少し休憩して(笑)また頑張ります。そして皆さまへのメッセージは『QED 伊勢の曙光』の巻末の暗号文で(またそういうことをやっている)……。