アーネスト・G・アルグライト
英国出身の21歳。由緒正しき霊媒師一族の跡取り息子。
竜堂佐貴(りゅうどう・さき)
喫茶店《リーベル》の二代目マスター。霊感ゼロの24歳。
留学先の英国でアーネストと知り合う。
秋重(あきしげ)
《リーベル》ただ一人の従業員。ひょろりとした体型の26歳。
藤村月都(ふじむら・つきと)
「姉が、彼女を殺したらしいんです」
大学の医学部生。21歳。霊媒師の噂を聞き《リーベル》を訪れる。画家・藤村透基の孫。
藤村水里(ふじむら・みさと)
「お父様が、死んだ……?」
月都の姉。25歳。父である藤村志基の死後、体調を崩している。写実的な絵を描くのが得意。
鳥出秀一郎(とりで・しゅういちろう)
「悪かったと思ってるけどさ。君と僕の仲じゃないか」
アーネストと佐貴が藤村邸に向かう途中で出会った、妙に図々しい男性。30歳。
三神京司(みかみ・きょうじ)「人形というのは意外に悪食でね。闇が大好物なんですよ」
藤村邸を定期的に訪れる人形師。33歳。
宮辺明日夏(みやべ・あすか)
「本当に、馬鹿みたい」
寿々子の姪。5年前までは藤村邸を頻繁に訪れていたが、ある出来事をきっかけに足が遠のいていた。
飯嶋陽介(いいじま・ようすけ)
「もういいだろ」
藤村透基の弟子だった人の息子。大柄でがっしりした体格。
雪広うたこ
漫画家、イラストレーター、キャラクターデザイナー。代表作に『少年王女』、『魔界王子 devils and realist』、『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE2000%』(コミカライズ)など。画集『雪広うたこアートワークス 魔界王子devils and realist』が好評発売中。
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なぜ応募先にメフィスト賞を選んだのですか?
ここなら、少々変わった設定のミステリも受け入れられると思ったので。応募作品すべてにコメントがもらえるという点も大きかったです。そして何より、あの犬印は憧れでしたから!
受賞を知ったとき、最初に思ったことは? その後、まずしたことは?
もちろん嬉しかったですが、正直あまり実感がありませんでした。「え、ホントに?」って感じで。とりあえず、すぐ近くにいた母に伝えましたが、実際に誌面で発表されるまではわりと淡々と普通に過ごしてました。歴代の受賞者の皆様と名前が並んだのを見た時にはとても感動しましたけど。
受賞の知らせを聞いたのはどこ?
自宅です。電話で知らせを受けました。その時に何をしていたかは……よく覚えていませんが。
作家を志したきっかけは?
小学生の頃は漫画家になりたいと思っていたのですが、漫画を描くのはとにかく面倒で。それならと試しに小説を書いてみたところ、飽きずに最後まで書くことが出来たので、じゃあこっちにしてみようか、と。
初めて「小説」を書いたのはいつ頃? またどんな作品?
中学一年の頃、友人に読んでもらうために書きました。中学生の少女二人が異世界に迷い込むという、ありきたりなファンタジーです。実際には、まるで小説の形にはなっていなかったと思いますが。
講談社ノベルスで好きな作品をあげるなら?
綾辻行人さんの『十角館の殺人』――と言いたいところですが、これは文庫で読んだので、ノベルスなら「時計館の殺人」の方でしょうか。このシリーズは私に、自分が好きなのは「館もの」というジャンルである、ということを教えてくれました。
影響を受けた作家、作品は?
一人の作家さんやひとつの作品から強い影響を受けるというより、その時々で触れる様々なものから(小説に限らず漫画や音楽や、時にゲームなどからも)自然と影響を受けている感じなので、「これ」と特定するのは難しいです。
執筆スタイルは?
物語の世界に完全に入り込む必要があるので、自宅で書きます。雑音(主に人の声)があるとだめなので。お昼過ぎから始めて、深夜の十二時とか二時くらいまでやる時はやります(もちろん間に食事や入浴時間はとりますが)。でも、作業時間のわりには進まないです。仕事が遅いので……。
執筆中かかせないアイテムは?
マウントレーニアのカフェラッテ。大事な執筆のおともです。一日ひとつと決めているので、ちびちび飲みながら作業してます。「今日の一本」と呟きながら……(笑)。
執筆中あったエピソードで忘れられないものは?
「メフィスト」の座談会にあげるために、当時の担当のPさんから原稿枚数を二百枚ほど削って欲しいと言われました。実質的な作業日数が十日弱しかなかったのでキツかったのですが、そのおかげで作品のレベルが上がり受賞に至ったので、とても感謝しています。
受賞作『渦巻く回廊の鎮魂曲』、着想のきっかけは?
トリックアートを使った作品を書きたいと考えていたのですが、なかなかいいアイディアが浮かばずにいました。そんな時、記憶の底にあった「アレ」がふっと浮かんで来て、丁度うまい形にはまり込んだ――そんな感じです。
執筆期間はどれくらい?
純粋な執筆期間というのは二ヵ月くらいでしょうか。構想から推敲までを含めた全体の作業期間ということになると、四ヵ月弱くらいだと思います。
応募時、添付した梗概に書いた「キャッチフレーズ」は? また応募時のタイトルは?
「その奇妙な回廊は、人の心をも惑わせる」……あまりセンスないですね。こういうのを考えるのは苦手なんです。ちなみに当時のタイトルは『渦巻き回廊の闇少女』でした。
次作の構想はありますか?
現在、シリーズ二作目を進行中です。佐貴の「事情」に触れた一作目に対し、二作目はアーネストの「事情」に触れた物語になるかと思います。お楽しみに!
読者の方々に一言!
エンターテインメントである以上はやはり、「楽しい」ということが何より重要だと思います。まだまだ未熟ではありますが、これからも皆様に楽しんでいただき、かつ心に残るような作品を作っていきたいと思っておりますので、キャラクターたち共々、どうぞよろしくお願いいたします!
風森章羽(かざもり・しょう)
3月7日、東京都調布市生まれ。『渦巻く回廊の鎮魂曲(レクイエム) 霊媒探偵アーネスト』で第49回メフィスト賞を受賞し、デビュー。好きな場所は多摩地域。
メフィスト賞受賞作を決める座談会で、「ほっこりした読後感」「すごく面白かった!」「女性にも好かれそうな、特徴的なミステリ」と好評を博した本作。私自身も座談会で読み、魅力的な登場人物たちのことが大好きになり、多くの方々に“彼ら”を紹介したいと感じたことをよく覚えています。
作中で、主人公にして探偵役の霊媒師・アーネストがこう話します。「霊が自ら手を下して人を殺すことは不可能です」と。この物語は、霊媒師が霊を退治するわけではなく、ある理由によって死者にとらわれてしまった人々を、アーネストが救う物語なのです。だからこそ読後感もよく、あたたかな気持ちになるミステリになっているのでしょう。
すでに次作の執筆も順調に進んでおり、今年の秋に刊行を予定しております。ぜひお読みください。