同志社大学推理小説研究会時代に執筆した江神シリーズ作品
一九五九年大阪府生まれ。
同志社大学法学部卒業。在学中は同大推理小説研究会に所属。一九八九年に『月光ゲーム』でデビューを飾り、以降「新本格ミステリ」ムーヴメントの最前線を走りつづけている。二〇〇三年『マレー鉄道の謎』で第五十六回日本推理作家協会賞、二〇〇八年『女王国の城』で第八回本格ミステリ大賞を受賞。本格ミステリ作家クラブ初代会長。有栖川有栖創作塾にて作家志望者の指導を行っている。
京都大学推理小説研究会時代に執筆した犯人当て
一九六四年島根県生まれ。
京都大学法学部卒業。在学中は京都大学推理小説研究会に所属。「新本格ムーヴメント」を代表する一人。一九八八年、江戸川乱歩賞に応募した『密閉教室』を改稿、島田荘司氏の推薦を受けてデビュー。二〇〇二年「都市伝説パズル」で第五十五回日本推理作家協会賞(短編部門)を、二〇〇五年『生首に聞いてみろ』で第五回本格ミステリ大賞(小説部門)を受賞。小説に限らず、ミステリ評論も複数発表している。
駒澤大学推理小説同好会会誌に収録された作品
一九六三年神奈川県生まれ。
駒澤大学卒業。在学中は駒澤大学推理小説同好会に所属。一九九九年、『ドッペルゲンガー宮《あかずの扉》研究会流氷館へ』で第十二回メフィスト賞を受賞しデビュー。以来、「《あかずの扉》研究会」シリーズ、「私立霧舎学園ミステリ白書」シリーズなどを発表。ペンネームは「新本格ミステリ」のゴッドファーザー、島田荘司氏の命名による。
京都大学推理小説研究会時代に執筆した犯人当て
一九六二年兵庫県生まれ。
京都大学文学部哲学科中退。在学中は京都大学推理小説研究会に所属。一九八九年『8の殺人』でデビュー。速水三兄妹が活躍するコミカルな作品から、『殺戮にいたる病』などの重厚な作品まで、幅広い作品を執筆。その活躍は小説に限らず、『監禁探偵』などの複数の漫画原作も手がけ、一九九四年、サウンドノベルゲームソフト『かまいたちの夜』のシナリオを執筆し、同ゲームは大ヒットとなる。
ワセダミステリクラブ時代に執筆したデイリースポーツ懸賞付き犯人当て
一九五九年岡山県生まれ。
早稲田大学政治経済学部卒業。在学中は、ワセダミステリクラブに所属。一九九四年『おなじ墓のムジナ』で第十四回横溝正史ミステリ大賞佳作入選しデビュー。極端な意外性を持つミステリ、いわゆる「バカミス」の第一人者で、『フォックスの死劇』、『スティームタイガーの死走』で二度バカミステリ大賞を受賞。個性の強いキャラクターやギャグと、論理的な謎の解明を両立させるミステリを数多く執筆。
中学時代に執筆した作品
一九五八年東京都生まれ。
明治薬科大学薬学部卒業。薬剤師免許所持。一九九八年『QED 百人一首の呪』で、第九回メフィスト賞を受賞しデビュー。以来、秘められた歴史の真実に光を当てる歴史ミステリ「QED」シリーズ、「カンナ」シリーズを始め、「千葉千波の事件日記」シリーズ、「毒草師」シリーズなど、数々の作品を執筆。二〇一一年には、講談社ミステリーランドの『鬼神伝』が映画化された。
SF同人誌<HAL>のために執筆した作品
一九六〇年高知県生まれ。
米エカード大学創作法専修卒業後、高知大学助手などを経て執筆活動に入る。『聯殺』が第一回鮎川哲也賞の最終候補となり、一九九五年に『解体諸因』でデビュー。『七回死んだ男』『人格転移の殺人』などSF的設定を前提としながらも、その設定の規則性を明確に定義したうえで、論理的かつ緻密に謎解きが展開する本格ミステリを発表。「神麻嗣子の超能力事件簿」など多くの人気シリーズがある。
第三十八回オール讀物推理小説新人賞に応募した初投稿作品
一九七三年静岡県生まれ。
法政大学工学部卒業。二〇〇二年に『水の時計』で第二十二回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。高校の吹奏楽部を舞台にした「ハルチカ」シリーズ『退出ゲーム』『初恋ソムリエ』『空想オルガン』『千年ジュリエット』で人気を集める。その他、『1/2の騎士〜 harujion 〜』『トワイライト・ミュージアム』『カマラとアマラの丘』など次々と発表。活躍が期待される気鋭。
大学時代のミステリークラブ機関誌に収録された作品
一九七三年京都府生まれ。
成城大学文芸学部卒業。在学中はミステリークラブ所属。二〇〇四年に『風の歌、星の口笛』で第二十四回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。以来、『たゆたいサニーデイズ』『修学旅行は終わらない』などを発表。本格ミステリから青春ミステリまで幅広く活躍している。
追手門学院大学文芸部の卒業記念誌に収録された作品
一九七七年大阪府生まれ。
追手門学院大学文学部卒業。在学中は文芸部に所属。有栖川有栖氏が「生意気な新人が現れた」と評した『パラダイス・クローズド』で第三十七回メフィスト賞を受賞しデビュー。以来、「THANATOS」シリーズ、「完全犯罪研究部」シリーズなどを発表。またドラマCDのシナリオやサウンドノベルのサブシナリオを担当するなど活躍の場が広がっている。
京都大学推理小説研究会時代に執筆した、『人形館の殺人』の原型作品
一九六〇年京都府生まれ。
京都大学教育学部卒業。同大学院博士後期課程修了。在学中は京都大学推理小説研究会に所属する。一九八七年に『十角館の殺人』でデビュー。「新本格ムーヴメント」の嚆矢となる。一九九二年に『時計館の殺人』で第四十五回日本推理作家協会賞を受賞。「館」シリーズと呼ばれる一連の長編は、現代本格ミステリを牽引しつづけている。ミステリ、ホラー、怪談など幅広く活躍。
本書『0番目の事件簿』は「メフィスト」誌の連載企画をまとめたもので、十一人のミステリ作家がデビューする前に書いた作品に執筆の背景を語るエッセイを添えたものが並ぶ、という大胆にして異色のアンソロジーである。アマチュア時代の未熟な作品は、「読者の目に触れて欲しくない」と思うのが通例だというのに、どうしてこんな企画が成立してしまったのか?
自分も参加しているのに驚いてしまう。承諾に踏み切るに至った理由は、個々の作者のエッセイをお読みいただきたい。
「習作を集めて売るというのは、いかがなものか」と思う方がいらっしゃるかもしれないが、その是非はお読みいただいた上での判定を待ちたい。参加者の一人として、この破天荒な本は収録作家の熱心なファン向けの座興や小説家志望者への参考資料というのにとどまらず、他に類のない面白い本になっていると信じている。
小説家には色々なタイプがあって、筆一本で生計を立てる専業作家もいれば、本業や副業を持って書き続ける兼業作家もいる。作品を世に送り出したなら、人は小説家を名乗ったり、そう呼ばれたりするものだ。生涯に一作しか発表しなかったからといって、「それでは小説家ではない」と言われるものでもなく、唯一の作品が名作だったら、まさに伝説の小説家である。
その肩書は死ぬまで消えない、とも言われる。「もう書かない」と断筆を宣言すれば元小説家になるわけだが、翻意すればすぐまた小説を書けるので、周囲からは断筆中の小説家と見られがちだし、「もう書かなくなったのかな」と思っていたら何十年ぶりかで作品を発表する人もいる。プロのスポーツ選手や芸能人と違って、小説家というのは終わりがはっきりしないのだ。
が、実は始まりも明確ではない。後の大傑作が同人誌や自費出版の形で世に出ることもあり、商業出版ができた時点で小説家誕生と言い切るのもためらわれる。若い頃に書き上げた作品を老境に入ってから出版したら、その人はいつから小説家だったのだろう?
また、具眼の編集者に「あなたの作品を出版しましょう」と認められた時点が小説家としての始まりだ、と決めつけることもできないのではないか。
そんなことを考えながら本書をお読みいただくと、(冒頭の拙作はさて措いて)堂々たる〈ミステリ作家の作品〉が並んでいることを発見していただけるだろう。
もとよりミステリは、「アイディアが浮かんだから小説にしてみよう」という遊戯精神で書き始める人が多く、アマチュア時代の作品にその作者の個性・志向が現われやすい。ミステリ作家として最も大切にしたいものを、習作の時点で掴んでいる場合も少なくないだろう。
「面白いのかなあ」とまだ迷っている方に、最後のセールストーク。(耳元で)お客さん、この機会を逃すと二度と読めない作品ばかりですよ。
二〇〇五年の冬のことだと思う……たぶん。七年も前のことなので、記憶があいまいではあるが、有栖川有栖さんとの打合せ後の雑談のなかで、ふいにこの企画が生まれたのでした。
「多くの本格ミステリ作家は、デビュー前に書いた習作がある」という有栖川さんのお話に、「皆さん今でもその習作、お手元にあるんですか?」と食いついたのだと思う。今、作家として活躍している方々が、若いときにどんな作品を書いていたのか。現在の作風を思わせるものなのか、そうでないのか。個人的にも非常に興味深く、また、作家デビューを目指す人たちの励みにもなると思った。そして、「有栖川さんも、学生時代に書かれた習作、お持ちですよね?」と詰め寄り、「蒼ざめた星」を強引にお借りしたのだと思う。
四年ぶりに文芸第三に戻ったら、綾辻行人さんの「遠すぎる風景」が「メフィスト」に掲載され、この企画が最終回を迎えたところだった。そして、今回とうとう書籍に。ここでしか読めない貴重な作品ばかりだと、改めて感じています。
文芸図書第三出版部 部長L