『ハサミ男』
講談社ノベルス
講談社文庫
連続美少女殺人事件。死体ののどに突き立てられたハサミ。その残虐性から「ハサミ男」と名づけられたシリアル・キラーが、自分の犯行を真似た第3の殺人の真犯人を捜す羽目に……。殺人願望と自殺願望という狂気の狭間から、冷徹な目で、人の心の闇を抉るハサミ男。端麗なる謎! ミステリ界に妖しい涼風が!
この小説を執筆中、ワープロに向かう前にはいつも、一種の儀式のように、XTCの<Scissor Man>と<Complicated Game>を聴いていました。合計100回以上は聴いたはずです。それなのに、どうしてこんな話になってしまったんでしょうか。
『美濃牛』
講談社ノベルス
講談社文庫
「鬼の頭(こうべ)を切り落とし……」首なし死体に始まり、名門一族が次々と殺されていく。あたかも伝承されたわらべ唄の如く。
たくさん引用が出てきますが、全部ちゃんと読んでいるなんて思わないでください。著者はとても不勉強な人間です。この本の印税が入ったら、飛騨牛料理を食べに行こうと思っています。
『黒い仏』
講談社ノベルス
講談社文庫
9世紀、天台僧が唐から持ち帰ろうとした秘宝とは。助手の徐彬(アントニオ)を連れて石動戯作(いするぎぎさく)が調査に行った寺には、顔の削り取られた奇妙な本尊が。指紋ひとつ残されていない部屋で発見された身元不明の死体と黒い数珠。事件はあっという間に石動を巻き込んで恐るべき終局へ。ついにミステリは究極の名探偵を現出せしめた!
わたしは旅行が大嫌いなので、次作は家から一歩も外に出ずに書ける話を考えようと思っています。
『鏡の中は日曜日』
講談社ノベルス
講談社文庫
梵貝荘(ぼんばいそう)と呼ばれる法螺貝(ほらがい)様の異形の館。マラルメを研究する館の主・瑞門龍司郎(ずいもんりゅうしろう)が主催する「火曜会」の夜、奇妙な殺人事件が発生する。事件は、名探偵の活躍により解決するが、年を経た後、再調査が現代の名探偵・石動戯作(いするぎぎさく)に持ち込まれる。時間を超え交錯する謎。まさに完璧な本格ミステリ。文庫版は続編「樒(しきみ)/榁(むろ)」を同時収録。
家から一歩も出ずに書ける話にするつもりが、またもや取材旅行に出かけるはめになりました。初夏の鎌倉は、とてもすばらしかったです。
『樒/榁』
講談社ノベルス
天狗を目撃したという宮司がいる荒廃した寺で、御神体の石斧が盗まれた。問題の“天狗の斧”が発見されたのは完全な密室の中。おびただしい数の武具を飾る旅館の部屋の扉を破ると、頭を割られた死体と脅迫状が。悲運の天皇、崇徳院(すとくいん)を巡る旅の果てに事件と出遭ったかの名探偵の推理は。謎と企みに満ちた本格!
「取材費を使って温泉に行こう」という不届きな魂胆から執筆いたしました。
『キマイラの新しい城』
講談社ノベルス
講談社文庫
「私を殺した犯人は誰なんだ?」欧州の古城を移築して作られたテーマパークの社長が、古城の領主の霊に取り憑かれた!? 750年前の事件の現場状況も容疑者も全て社長の頭の中にしかない。依頼を受けた石動戯作(いするぎぎさく)も中世の人間のふりをして謎に迫る。さらに、現実にも殺人が! 石動はふたつの事件を解明できるか!?
取材の名目でエジプトに旅行し、鳩肉とターメイヤを食べようかと考えましたが、お金がないので断念しました。
※著者の言葉は刊行時、ノベルスのカバー袖に掲載されていたものです。