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『タイムスリップ忠臣蔵』鯨統一郎|講談社ノベルス

講談社ノベルス

担当者コメント

タイムスリップも第6弾に突入しましたが、鯨氏のテンションはますます上がる一方です! 22世紀にイヌの惑星となった地球と忠臣蔵との恐るべき関係は!? ぜひぜひご期待ください。


著者コメント

過去のタイムスリップシリーズを一回でも読んだことのある読者のかたは、今回の『タイムスリップ忠臣蔵』を読んで、とまどうかもしれない。
タイムスリップシリーズを初めて読む人は……やっぱりとまどうかもしれない。

過去のタイムスリップシリーズで主役を張ってきた麓うららが、厳密な意味では本作では登場しない。 麓うららという名前の女性は登場するが、それは、今まで活躍した麓うららの子孫であり、またご先祖様なのである。

また本作は、高度に発達した知能を持つ犬たちと、犬に支配された人間たちとの戦いという、少し変わった設定なので、初めて本シリーズに接する人もとまどうかもしれないと危惧しているのだ。
そしてそのような話が、どう忠臣蔵と結びつくのか……。
それは読んでのお楽しみだが、忠臣蔵に出てくる名場面はすべて含まれているので、忠臣蔵ファンのかたもご安心を……。

担当者コメント

若い人(主に十代から二十代前半)にとっては『忠臣蔵』あるいは『赤穂浪士』という言葉は、なじみが薄いかもしれない。
二十年ぐらい前には、テレビの連続ドラマでもよく時代劇をやっていて(当時の)若い人もよく観ていたと思う。

だから当時の人にとって『忠臣蔵』はもちろん『鞍馬天狗』や『丹下左膳』『清水の次郎長』『一心太助』『国定忠次』などのヒーローはなじみ深かった。
だが今の若い人はそれらの話の内容を知らないかもしれない。
現に『丹下左膳』『一心太助』の二つはパソコンで一発変換できなかった。
近年も中村獅童、豊川悦司の『丹下左膳』、野村萬斎の『鞍馬天狗』など、時代劇のヒーローが思い出したように復活することもあるのだが、昔ほどの人気はないようだ。

『忠臣蔵』も『赤穂浪士』も同じ物語を指している。
江戸城内において、赤穂藩藩主・浅野内匠頭が、高家・吉良上野介に斬りかかった。赤穂藩は断絶、浅野内匠頭が即日、切腹になったのに対し、吉良上野介はお咎め無しだった。このことに憤った浅野の家臣、四十七人が、仇討ちを果たすという物語である。

江戸城内で刀を抜き、人に斬りかかれば、お家断絶、家臣達が路頭に迷うことは明らかなのに、なぜ浅野内匠頭は刃傷沙汰に及んだのか――。

その原因には諸説あり、最も有名なのは、浅野内匠頭が吉良上野介に意地悪をされたというもの。
次に、塩の生産地である赤穂藩の藩主、すなわち浅野内匠頭が、塩の製法を吉良に教えなかったというもの。
あるいは浅野内匠頭が精神的に不安定だったという説。
だが、意地悪をされたぐらいで、お家断絶が判っている刃傷事件を起こすとは考えられず、また幕府の儀礼、典礼を司る吉良家が塩の製法を知る必要もない。
精神的に不安定だったことは充分に考えられるが、そうではなく、実はこの刃傷事件が計画的だった証拠がある。
浅野内匠頭は刃傷事件に関して、家来たちに手紙を残し、その中に次のような一節がある。

――この段、かねて知らせ申すべく候へども、今日やむを得ざること候故、知らせ申さず候……

事前に知らせるべきことだったが、やむを得ず知らせることができなかったということだ。
本当は事前に知らせたかった……すなわち計画的だったのだ。
ではなぜ浅野内匠頭はそのような計画を立てたのか?
私の答えは、生類憐みの令を廃絶するため……そう思えてならないのだ。
そのわけは……紙数が尽きた。知りたいかたは、私の新作『タイムスリップ忠臣蔵』をどうぞ。

鯨氏本人によるタイムスリップシリーズ解説

  • 『タイムスリップ森鴎外』
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  • 『タイムスリップ森鴎外』

    講談社ノベルスから本を出すことになり、当時の担当氏とK部長を前に、僕は書きたいアイデアをいくつか箇条書きにして提示した。その中からK部長が迷わず「これがいいですね」と指したのが、森鴎外が現代にタイムスリップして女子高生たちと一騒動巻き起こすというアイデアだった。
    タイムスリップシリーズの誕生である。

  • 『タイムスリップ明治維新』
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  • 『タイムスリップ明治維新』

    この作品は、NHK-FM放送でラジオドラマ化された記念すべき作品だった。
    主役の麓うららの声は田村ゆかりさんが担当してくれ、文庫化の際には巻末で対談もさせていただいた。
    ラジオドラマはその後も『タイムスリップ源平合戦』、以下『戦国時代』『川中島』と、都合4作品が放送され、僕は“原案”という形で参加している。

  • 『タイムスリップ釈迦如来』
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  • 『タイムスリップ釈迦如来』

    この作品は、シリーズ中、読んでいて最もおもしろい作品かもしれない。
    なにしろ主役であるブッダがオカマなのだから……。
    キャラが立ちまくっている。
    なぜブッダがオカマなのか。
    最後には、その合理的な理由が明かされているところも素晴らしい……かもしれない。

  • 『タイムスリップ水戸黄門』
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  • 『タイムスリップ水戸黄門』

    この小説は官僚の天下りを徹底的に糾弾した小説だ。
    世は民主党政権に替わり、天下りを規制する動きが活発化しているが、それより三年早く、小説の中で政官財の癒着をバッサリと斬り捨てている。
    主役はもちろん、現代にタイムスリップした水戸黄門である。
    印籠を出すシーンがどのように使われているか、ご注目。

  • 『タイムスリップ戦国時代』
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  • 『タイムスリップ戦国時代』

    子供の頃、戦国時代を扱った読み物をよく読んだ。
    北条早雲、毛利元就……。僕にとってなじみのある彼らの物語が、最近は少し蔑ろにされているのではないか――そんな思いで執筆を決めたのだが、書き上がったときには戦国時代ブームが到来していた。
    これもこの作品の運命だろうか――。

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