最初に読んだ本は、な、な、なんと!? [-] 閉じる
──門井さんの文章はとても洗練されていて、「言葉」への強いこだわりを感じます。その原点といえる読書体験などはありますか?
A:
最初に読んだ絵本以外の本は、実は「国語辞典」なんです。小学校に入ったとき父から小学生用の国語辞典をもらって、それを「本」と思った僕は「あ」から最後まで読んだんですね。読み進めるのが大変で、時々入るイラストが嬉しかった……。
──影響を受けた作家は?
A:
意識的にこの人のような小説を書きたいな、と思ったのはデイヴィッド・ロッジですね。それからイタロ・カルヴィーノ。デイヴィッド・ロッジは人間をあれほど冷めた目でみながら、とても温かい文章で描く。イタロ・カルヴィーノはまさに実験小説。ともに20歳頃、一番影響を受けやすい時期に読みました。日本人では森鴎外が僕の神様です。
──今回の「雄弁学園」ですが、どんな人に向けて書かれたのでしょう。また、どんな人に読んでもらいたいと考えていますか。
A:
僕はいつも読書経験の豊富な読者、と考えています。で、ある程度年齢のいった人を想定しているんですが、前作では意外と若い人から反響がありまして……。今回の作品もいろんな人に読んでいただきたいですね。千客万来ですよ(笑)。
次世代のミステリー
──門井作品は、既存のミステリーの枠におさまらない、先駆的なイメージです。もし、ご自分で作品にキャッチフレーズをつけるとしたら?
A:
いやいや、そんな難しい本ではありませんよ(笑)。勿論新しいものを書かなければならないという義務感はありますが、特に先駆的なものを書こう、とは思って書いていません。基本的には読者に向かって「こういう面白い話があるんですよ」という姿勢で書いています。その結果、先駆的であるのなら、願ったりかなったりですが。僕の中では謎解きがある、というのはミステリーだと捕らえています。
──いってみれば、これからの世代がミステリーと感じる「次世代のミステリー」なのかもしれませんね。
A:
そういっていただけると嬉しいです。