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『救済 SAVE』

講談社ノベルス

『救済 SAVE』・長岡弘樹
『救済 SAVE』

『救済 SAVE』
著者:長岡弘樹
定価:本体1,450円(税別)

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あらすじ
  • 元警察官が殺害現場で綿密な証拠隠滅を図る。親子の刑事は真相を見破れるのか。――「ガラスの向こう側」
  • 放火犯として刑事に疑われた知的障害のある少年。夏休みの予定を時間割として書くことに容疑と関わりが?――「夏の終わりの時間割」

著者メッセージ+PROFILE

 これまで発表した拙作は、どれも「ミステリー小説」に分類されていると思いますが、わたし自身は「アイデア小説」という言葉にこだわっています。単なる謎解きではなく、ましてやただの犯罪話でもない、「ある問題に直面した人間が、機知によってそれを解決する物語」。それがわたしの言うアイデア小説です。読んで本当に心を動かされるのは、わたしの場合、昔からなぜかそういうストーリーだけでした。好みの幅をもっと広げないといけませんが、それはともかく、書き手としては、やはり自分が最も読みたい物語を紡いでいくしかありません。わたしならこういうアイデア小説を読みたい、と常に意識しつつ書き上げたのが『救済 SAVE』の各編です。

「この作者は何てことを考えつくんだ」という感想を、最後に読者から引き出せれば、わたしにとってその小説は成功と言えます。「この作者は」の代わりに「この作中人物は」でもOK。「作者は」と「作中人物は」の割合を調節することで、作品に変化が生まれます。この変化も、『救済 SAVE』では、エピソードごとにかなり意識してありますので、どうぞお楽しみください。

長岡弘樹 ―― (ながおか・ひろき)

1969年、山形県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒業。2003年「真夏の車輪」で第25回小説推理新人賞を受賞し、05年に『陽だまりの偽り』でデビュー。08年に「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。13年刊行の『教場』が「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第1位となり、2014年本屋大賞にもノミネートされた。近著に『血縁』『にらみ』『道具箱はささやく』などがある。

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書店員さんコメント

様々な境遇の人に真摯に向き合い一筋の光を与える長岡弘樹さんならではの真骨頂!

大盛堂書店 山本 亮さん

 

ストーリーは理知的で緻密。そして人間の優しさが行間から溢れでている。

 三省堂書店有楽町店 内田 剛さん

 

どの作品もハッとさせられる謎が仕掛けられ、とてもドラマチックで心に響きます。

丸善名古屋本店 竹腰香里さん

 

ほろ苦くも、優しく温かな読後感のある上質な作品集。


 ジュンク堂書店吉祥寺店 河合駿介さん

 

隠されたヒントを一字一句逃さぬように読んでも、ラストで「そこだったか……」「そうきたか!」と驚かされました。 

戸田書店山形店 笠原裕介さん

 
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担当者コメント

『傍聞き』で日本推理作家協会賞を受賞し、『教場』が「週刊文春ミステリーベスト10」第1位に輝いたミステリの名手・長岡弘樹さん、まさに渾身の作品集です。

 6篇の作品に登場する人物は、元警察官、ヤクザ、ノビ師(忍び込みの泥棒)と様々で、彼らは、何らかの罪を犯したり、事件に関わってしまいます。例えばそのなかの一篇「ガラスの向こう側」では、元警察官が殺害現場で綿密な証拠隠滅を図ります。捜査をする刑事が真相を見破れるかが読みどころですが、それだけで話は終わりません。

 全篇ともラストへ至るまでに巧妙に仕掛けられた伏線は鮮やかで、謎解きに驚嘆するのは勿論のこと、どこか「救い」があるのもまた長岡さんならでは。綿密な展開と心理描写が、人に対する温かい眼差しを感じさせる珠玉のミステリ集です!

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