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『猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条』北山猛邦|講談社ノベルス

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デビュー10周年、待望の新作! 脅迫者は400年前の姫!? 頼りなげで危なっかしい女性名探偵が謎を解く! 『猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条』北山猛邦

著者コメント

 『猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条』は前作『猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数』の続編になります。時間軸はほぼ繋がっていて、前回の終わりから数週間後、とある村の因習に悩む少女が、主人公たちに助けを求めるところから始まります。前回の舞台は孤島でしたが、今回は陸の孤島、山村です。
 今回も、ミステリではおなじみの設定を踏襲しながら、あまり見たことのない展開になっていきます。
 この小説で挑戦したのは、本格ミステリのreverse――それは『裏』や『逆』を示す言葉であり、『逆回し』という意味もあります。どういう意味かは読んでいただければわかるかと思います。
 ともかく難しいことは考えず、ミステリの素人も玄人も、楽しんでいただければ幸いです。

プロフィール

北山猛邦(きたやま・たけくに) 1979年生まれ。2002年、『「クロック城」殺人事件』で第24回メフィスト賞を受賞し、デビュー。時空を超えた世界と物理的トリックが話題となり、次代を担う本格ミステリ作家として、多くのファンの心を掴んだ。以降、「城」シリーズを第4弾まで発表。2011年発表のミステリ短編集『私たちが星座を盗んだ理由』は読者の想像をはるかに超える結末に発売直後から話題を集めた。また、一方で『猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数』や「名探偵 音野順の事件簿」シリーズのようなコミカルな本格ミステリも発表するなど、幅広い活躍を見せている。

担当者コメント

 シリーズ第一作『猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数』は「読者に勧める黄金の本格ミステリー」(南雲堂)に選出され、さらには「このミス2013」でもランクインしました。それだけ注目される作品ですから、ファンの皆さまはシリーズ新作の刊行を待ちに待ったことでしょう。お待たせした分だけ大変面白くなっております。今回も事件阻止へ猫まっしぐら!
 ミステリをこよなく愛した北山氏だから出来る発想に驚くこと必至! 猫柳先生と君橋の関係にも注目。「キュン」とくるシーンも!?
 本格ミステリと青春小説の良さを兼ね備えた作品をぜひご堪能ください。それにしても猫ちゃんはかわいいなぁ……。

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シリーズ第1作!
『猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数』 『猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数』

「探偵でも怖いものは怖いのです」
頼りなげな謎の女探偵・猫柳と探偵助手めざす大学生が孤島のゼミ合宿で殺人に巻き込まれた!?
“波乱万丈”大学生活! 青春“北山猛邦”ミステリ!
講談社ノベルス 特集をチェック!

北山さんによる解説  なんだかんだで始まってしまった『メフィスト』の連載長編。好きなように書き始めたので、はじめは楽しかったのだが、プログラムのように最後まで組み上げておかないと書き出せない自分には、行き当たりばったりに近い連載がだんだんと大変な作業になっていった。
 この小説はミステリのありふれた構成を取り入れながら、ことごとくお約束を外すような、ちょっとひねくれたミステリになっている。ミステリの初心者でも、あるいは玄人でも、楽しんでもらえるような小説になっていると思う。
 あとはただ、猫柳十一弦のけなげな探偵活動を応援してもらえたら、作者としては嬉しい。

祝!デビュー10周年!北山猛邦さん自作解説

『「クロック城」殺人事件』

『「クロック城」殺人事件』
本文208項の真相を他人に喋らないでください。
時を超えた不可能犯罪!? メフィスト賞受賞作。
講談社ノベルス
講談社文庫

北山さんによる解説  デビュー作となったこの小説は、大学三年生の時に書いたもので、本格ミステリ漬けの日々の中から生まれた。講談社ノベルス、あるいはメフィスト賞に対する憧れから書き始めたものが、結果的にメフィスト賞受賞作となった。当時は、ノストラダムスによって破局を予言された一九九九年が、何事もなく終わり、ミレニアムを迎えようとしていた。小説では逆に、予言が現実となった世界を背景にした。そうした終末テーマの他に、本格ミステリ、オカルト要素、心理学、そして物理トリックなど、自分の好きなものを遠慮せず詰め込んだ小説になっている。

『「瑠璃城」殺人事件』

『「瑠璃城」殺人事件』
生まれ変わっても、繰り返される殺人?
講談社文庫

北山さんによる解説 「クロック城」を投稿してから受賞が決まるまでには少しタイムラグがあり、その間に二作目を書いて投稿していた。それがこの小説だが、投稿時には「城」シリーズとしては考えていなかった。たまたま城が登場していたので、デビューするにあたって、タイトルを『――城殺人事件』と統一させた。これがやがて「城」シリーズと呼ばれるようになるが、いずれもストーリー上の繋がりはない。
 生まれ変わりをテーマに、三つの場所と時代が交錯する物語で、作中には物理トリックを解説する図版がとにかく多く出てくる。物理トリックというものを究極的につき詰めた結果、もはやミステリという枠組みでは括り難い小説になってしまった。デビュー前だからできた暴挙で、少なくとも今の自分にはこの小説は書けないと思う。

『「アリス・ミラー城」殺人事件』

『「アリス・ミラー城」殺人事件』
あなたはチェスの駒になるか?プレイヤーになるか?
「著者の個性的な創作姿勢とこれからの活躍から、既に目が離せなくなっている」――千街晶之
講談社文庫

北山さんによる解説  デビューしたあと、大学を卒業し、地元の岩手に戻ってひきこもり同然の生活をしながら苦心してやっと書いたのがこれ。この三作目を出すまでの間に、二つの長編を没にしており、迷走していた。寒い冬の季節、夜中に家を抜け出して、コンビニまで凍りついた道路を歩きながら、ああでもないこうでもないと一人考えていたことを思い出す。最終的に、あらためてミステリというものに向き合って、この小説を書いた。
 前二作では、ジャンルに対するこだわりがほとんどなかった。自分ではミステリを書いているつもりだったが、ファンタジーやSFととられても構わないと考えていた。しかしデビュー後には、そのあいまいさが読者を不安にさせるものだということを学習した。だから少なくともジャンルにおいて、ミステリという言葉以外のものでは括れないものを書いた。

『「ギロチン城」殺人事件』

『「ギロチン城」殺人事件』
人間の人形化がもたらした悲劇とは?
何かしなければ崩壊する。でも何かしても崩壊する。そんな局面に立たされたら、人間はどうしたらいいのだろう――本文より
講談社文庫

北山さんによる解説  この頃からだんだんと自分の筆の遅さが顕著になってきた。残り時間があまりないなかで書かれたわりに、この作中の風景は、まるで自分が本当にギロチン城に行ったことがあるかのように、今でもありありと思い浮かべることができる。
 世間から完全に隔離された城で、認証装置に囲まれて暮らす少女たち。首を狩る自動人形によって、彼女たちの身に危険が及ぶ。大胆さと繊細さの絶妙なバランスで綱渡りしている小説だと思う。

『私たちが星座を盗んだ理由』

『私たちが星座を盗んだ理由』
優しく、美しく、そして残酷な5つの物語。北山ミステリの真髄!
若手注目作家の、衝撃ミステリ短編集誕生!
講談社ノベルス

北山さんによる解説  告知していた「城」シリーズの新作を出せないうちに、『メフィスト』に掲載していた短編が溜まってきたので、先に短編集として久々の講談社ノベルスから本を出させていただくことになった。
 雑誌掲載時には、それぞれ別々のテーマが与えられて書いた短編だったが、一冊の本にしてみると自然と統一感が出てきた。ちなみに『恋煩い』のテーマが〈都市伝説〉、『妖精の学校』のテーマが〈学園もの〉、『嘘つき紳士』のテーマが〈東京〉。他二作は書き下ろしで、短編集として本にした時に雰囲気を壊さないような作りにした。
 いずれの短編も、最後の一行の、その次を想像してもらいたくて書いた小説だ。

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作家生活10周年 10の質問

デビューしてから一番思い出に残っていることは?

『ファウストvol.4』の企画で行った沖縄合宿。

この10年で自分自身のなかで変わったことは?

東京にきてからは少しは外に出るようになりました。

デビュー直後の北山さんに現在の北山さんが声をかけるとしたら?

まだ作家を続けてるよ。

作家・北山猛邦、四字熟語でたとえると?

一点突破。

作品を執筆するにあたって、一番大切にしていることは?

文章で背伸びしない、分をわきまえる。

どのような作家さんと交流をもたれていますか?

おそらく辻村深月さんがもっとも親しい友人です。
最近は福田栄一さんとマリオカートとかしました。

10年ずっとイケメン作家として注目されていらっしゃいますが、その北山さんから見てイケメンだなと思う作家は誰ですか?

注目されてる実感はまったくないのですが……。
自分からは麻耶雄嵩先生を推薦します。

「猫柳」シリーズ、次なる展開は?

次やるとしたら猫柳先生がもっとぼろぼろになるような展開が望ましいです。

2013年の刊行計画を教えてください。

けっこうたくさん新刊が出ると思います。ずっと前から告知している「石球城」も出したいです。

次の10年に向けて、何か宣言を!

本格ミステリ作家クラブの大賞をとって、はれて会員になりたいです。応援よろしくお願いいたします。

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